NEW
住宅ジャーナリスト・山下和之の目

住宅ローン返済猶予や元金据置き、銀行が申込の9割で条件変更…大幅な負担軽減が可能

文=山下和之/住宅ジャーナリスト
【この記事のキーワード】, ,

 これなら、なんとか返済を継続できるという人が多いのではないでしょうか。

最長15年間の返済期間延長も救済策の柱に

 住宅ローンの条件変更の柱は、この元金据置きと返済期間の延長による返済額の軽減です。元金据置きは一定期間に限られますが、返済期間延長は完済まで軽減が続くことになります。フラット35を実施している住宅金融支援機構では、一定の条件付きで最長15年間返済期間を延長できるとしています。

 先の例でみると、3年後に返済期間を15年延長すると、残りの返済期間は47年になります。残高は3709万2908円ですから、それを返済期間47年で再計算すると、毎月の返済額は8万2456円です。元金据置きほどの減少ではありませんが、それでも11万2914円からほぼ3万円、27.0%の減額ですから、残業代がなくなったといった程度の収入減であれば、なんとかなるかもしれません。しかも、この減額は半年とか1年といった期限付きではないので、ジックリと今後の生活を考えることができるというメリットがあります。

金融機関への相談件数は全国で6万件を突破

 こうした柔軟な対応が増えているため、返済猶予の相談が急増しています。図表2は20年3月10日から21年2月末までのメガバンクを初めとする全国銀行の対応状況で、図表3は信用金庫など協同組織金融機関の20年3月10日から20年12月末までの対応状況になります。

 銀行への条件変更などの申込みは4万364件で、信用金庫などが1万9763件で、合計すると6万127件に達します。21年4月現在、新型コロナウイルス感染症の第四波がいよいよ深刻化しつつありますから、今後も収入が減ったり、仕事を失う人が増えて、相談件数はさらに増加する可能性があります。

住宅ローン返済猶予や元金据置き、銀行が申込の9割で条件変更…大幅な負担軽減が可能の画像3
(資料:金融庁ホームページ
住宅ローン返済猶予や元金据置き、銀行が申込の9割で条件変更…大幅な負担軽減が可能の画像4
(資料:金融庁ホームページ)

申込者のほとんどが条件変更の適用を受けている

 金融機関で相談しても、よほどの事情がない限り、なかなか条件変更などには応じてもらえないのではないかと危惧する人がいるでしょうが、コロナ禍のいまは、その「よほどの事情」に該当します。ほとんどの人が返済猶予の適用を受けているのです。

 銀行の例でみれば、21年2月末までの申込み件数は4万364件ですが、そのうち、実際に条件変更が実行された人は3万2437件に達しています。審査中が3519件、取下げが3548件ありますから、それらを除いて結論が出ている件数は3万3297件です。うち、3万2437件の条件変更が実行されているわけですから、その割合は97.4%に達します。信用金庫などの協同組織金融機関ではその割合が98.5%とさらに高くなっています。

RANKING

5:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合