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都会と地方の2拠点生活で気づいた「自分への恥」と「社会的成功ではない幸せ」とは

文=高橋よしこ/ライター
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 有機の物は体にはいいと知っていたが、つくっている農家さんたちのことまでは考えていなかった。安易に「有機はいいよね」と言い、有機を食べている自分は意識が高いのよ、と優越感に浸っていた気がした自分を恥じた。現実を知ると、農家の方たちへの深い感謝が生まれてきた。

 また、「私たちはエネルギーをいただいている」という言葉が心に響いた。「食べ物の栄養を摂ることも必要だが、つくり手のエネルギーがその食物に宿り、それをいただくことで私たちは生きる力をいただいている」と話してくれた。

 地方には、食べられる野草が身近なところにたくさんある。フキノトウ、ノビル、三つ葉、つくし等々、それらを摘んで天ぷらや卵とじにして晩御飯だ。つくしは調理する前に袴を取る手間がかかるが、自然の恵みをいただく悦びや自分たちで採った楽しさがあるため、その手間もおもしろくなる。

 スーパーで買ったら摘む楽しさはないし、つまみ食いもできない。お金を払って手に入れるのは簡単だが、時間や労力がかかっても、自ら摘むことで自然のエネルギーを直にもらい、何をつくろうか考えるのがおもしろい。できあがった食物を食べたときの満足感と、地方でテレワークをした後に浸かる温泉は極楽だ。

 2週間の地方生活を終えて東京に戻ると、無機質な空間に人の波が押し寄せ、外には桜も咲いている。タイムスリップした気分になった。

 東京に戻ってきて、地方で過ごした日々を周囲の人に話すと、「良い時間を過ごし、良い体験をしたんだね」「表情が明るくなった」「エネルギーが違う、本当に楽しかったんだね」「うらやましい、私もしてみたい」など、口を揃えて言われた。

「社会的成功=幸せ」と思い込んでいたけど、それは私の幸せではないとハッキリ自覚して、都会よりも地方が性に合っているという感覚が確信に変わってきている。何より「生きている」と実感した。期待と不安はセットだが、私はこれからの自分の生き方を真剣に考え始めている。

(文=高橋よしこ/ライター)

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