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重盛高雄「謎解き?外食が100倍面白くなる話」

客と店員が“ほぼ非接触&スムーズ”なスシロー、入口に店員と客が大混雑の「はま寿司」

写真・文=重盛高雄/フードアナリスト
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客と店員が“ほぼ非接触&スムーズ”なスシロー、入口に店員と客が大混雑の「はま寿司」の画像2
スシローのタッチパネル

 昨年は来店という母数自体が少なかったとはいえ、時短営業や不要不急の外出自粛などの影響にもかかわらず客数を伸ばすことができた。客単価は持ち帰りやデリバリーが奏功し、コロナ禍でも100%を上回る実績を上げていた。客数の伸長はコロナ禍にあって各社とも戦略上の命題であったといえるのではないだろうか。

 スシローの強みは「アプリ利用顧客の確保・拡大・維持」に努めていることと筆者は感じる。たとえば、アプリを利用する顧客から見れば公平であるが、アプリを利用しない顧客からは不公平と揶揄されそうな客席予約の仕組み。店舗で順番を待っているときに「申し訳ありません。ご案内の順番が前後します」というアナウンスにピンとくる消費者は少なくないだろう。

 実は事前にアプリで座席の予約を行い30分以内に店舗にチェックインすると、このアナウンスが流れ、アプリ予約した顧客が優先して席に着くことができる仕組みになっている。店舗前で待つ来店客の誤解を招かないように、アプリ予約された番号は「お呼び出し済のお客様」に表示される。なかなか配慮された仕組みという印象を受けた。

 チェックイン後の店内の流れは以下のとおりだ。発券機から自身の席番号が記されたシートを受け取り、座席に進む。座席にあるタブレットが番号を表示し待ち受けている。店舗スタッフに出会う機会は、最少で1回。食べ終わってから精算のボタンを押すと、お皿の数を数えるために現れ、会計時の札を手渡される。会計時もスタッフと接触することなく、自身の希望する精算方法で会計することが可能だ。オペレーション上の効率的な人員配置が実践されている印象を受ける。

 4月26日「スシロー有楽町店」に開店時間に合わせて訪問した。すでに数人のお客が列をつくり、順番に店内に吸い込まれていった。カウンター席も空いている限り、一つ空けの着席となっていた。タブレットのドリンク類を検索すると、アルコール飲料の欄には枝豆とノンアルコールビールの表示しかなかった。今回の緊急事態宣言においては、アルコールの提供は事実上禁じられており、要請に沿った取り組みの結果と思える。

 スシローの非接触の仕組みは、顧客にだけ利点があるわけではない。スタッフにとっても利便性は高いと想定される。なぜなら、ほとんどの業務が年齢や国籍を問わず誰でもできるようになっているからだ。

 例えばキッチンにおいては、バックグラウンドであることから全員が熟練者である必要はない。注文された商品に応じて新人と熟練者が分担することが可能となる。客席とは衛生上仕切りで区分けされ、客からは見えないことも利点といえる。フォアグラウンドでもお皿を数える、お皿を片付ける、使用後の客席を消毒するというように業務を小分けすることができ、対応する人材の幅はより広がる。

 高齢者や外国人材の活用の面で外食業には避けて通ることのできない課題が存在するが、スシローの採用している非接触を中心とするオペレーションは、ある程度それらの課題をクリアできていると感じた。

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