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昭和電工の技術、中韓・台湾が争奪戦…TSMCの急成長に不可欠な存在、確固たる協力関係

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 国際的な半導体の業界団体である「SEMI」によると、2020年の世界全体での半導体材料の販売額は前年比4.9%増の553億ドル(約6兆円)だった。その要因として、コロナ禍によるDXの加速は大きい。地域別にみると、台湾が最大の需要地であり、それに次いで中国の需要も拡大している。それは、昭和電工が先端分野の素材メーカーとして競争力を発揮するために重要だ。

TSMCなどが求める昭和電工の半導体部材

 その状況下、昭和電工は日立化成買収の成果を発揮し始めている。2020年12月、昭和電工傘下の昭和電工マテリアルズ(旧日立化成、以下では昭和電工として表記)は台湾での生産能力を増強すると発表した。具体的に同社は、シリコンウエハー(半導体の基板)を磨き回路などを平坦にするために用いられる研磨材料(CMPスラリー、CMPとはケミカル・メカニカル・ポリッシングの略称)や、生産されたチップを電子機器とつなぐための配線を整備するために用いられる樹脂部材などを増産する。

 注目したいのが、昭和電工が、世界最大のファウンドリー企業であるTSMCの本拠地である台湾に投資を行うことだ。その背景には、TSMCがシリコンウエハー上に半導体を形成するプロセス(前工程という)に加え、完成した半導体をウエハーから切り出して回路をつなぎ、樹脂ケースに入れるプロセス(後工程)分野での事業体制を強化していることがある。

 世界の半導体産業では、設計・開発と生産の分離が加速し、生産面(前工程)ではTSMCが最先端から汎用型までの分野で独走している。その上で、スマホメーカーなどが求めるサイズ、電力消費性能、演算とメモリの性能を満たすために、メモリや中央演算装置(CPU)を盾に積み重ねたり、横につないだりして、高性能なプロセッサが生産される。

 TSMCはファウンドリー事業において回路線幅の微細化を推進し、世界トップの地位を強化している。それに加えて同社は、各種半導体の切り出しや配線、パッケージングなどを行う後工程にも参入し、メモリやCPUを縦に積み上げる技術を確立している。それによって、TSMCはアップルなど生産を委託したIT先端企業の要求により良く対応し、半導体メーカーとしてのシェアを拡大させたい。

 そのために、日本の高純度かつ微細な素材創出力が必要とされている。台湾で昭和電工が研磨剤や半導体の積層に用いられる樹脂の生産能力強化に努めているのは、TSMCなどからの需要拡大に対応するためだ。さらに日本にTSMCが3次元封止に用いられる素材の研究拠点を設けることは、昭和電工など日本企業への期待の裏返しといえる。

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