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“不良債権の山”の懸念広まる…日本政策投資銀行、中小飲食店に単独融資、ノウハウ乏しく

文=編集部
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 資本金は3月31日付で23億4000万円から1億円へと、大規模な減資に踏み切った。20年4~9月期決算は781億円の連結最終赤字に転落。10月以降も旅行需要は回復せず、資本金を1億円に減らし“中小企業”になることを断行した。「財務基盤を健全化するため」としている。

 減資は税負担を軽減することにもつながる。資本金が1億円以下の企業は税制上中小企業とみなされ、税金の優遇措置が受けられるからである。赤字になり欠損金が生じた場合、来期以降に欠損金を繰り越して税負担を圧縮することができる。資本金1億円以下の中小企業は大企業より圧縮する割合を大きくすることが認められている。中小企業になると特にメリットがあるのが地方税だ。事業規模などに応じて赤字でも納める「外形標準課税」がかからなくなる。

 JTBは非上場だが年商1兆円、グループ従業員2万人を超える大企業である。中小企業になることによって優遇措置を享受することになったわけだが、事業規模に応じ税金を負担するという税の公平性の観点から議論を呼びそうだ。

 コロナ禍で資本金を1億円以下に減らす企業が相次いでいる。スカイマークは資本金90億円を1億円に。ソニーとパナソニックの有機EL事業が統合し、政府系ファンドが出資するJOLEDは877億円を1億円に大幅減資をした。飲食業界では回転ずしチェーンのカッパ・クリエイトが98億円を1億円に。北九州市の老舗百貨店、井筒屋は7月に105億円を1億円に減らす予定だ。

DBJの飲食・宿泊特化の資本支援

 政府は、営業時間短縮要請などで負担を強いている飲食などに対し、支援の拡充が必要と判断し、緊急で金融支援策をまとめた。通常の融資ではなく、一部が資本とみなされる劣後ローンと優先株による出資を軸に支援する。

 DBJは3月末、飲食業と宿泊業を支援するために500億円規模のファンドを立ち上げた。融資を開始から3年間の金利は年1%とする。劣後ローンは返済の優先度が低く、リスクが大きいため、金利を年4~7%と高めに設定するのが金融界の常識だが、破格の大盤振る舞いとなった。

 資本支援策はワタミが先陣を切ったが、政府が旅行業も支援対象に加えたことで、JTBがDBJに資本支援を要請した。「上場大手の飲食チェーンからの申請は列を成している状態」(金融筋)で「ブライダルや商業施設からも問い合わせが相次いでいる」(同)。

 DBJの動きを懸念する声が金融業界から挙がっている。首相官邸の意向を受けて、3月末からコロナ禍で深刻な打撃を受けている資本金10億円以下の飲食・宿泊事業者向けの金融支援を開始した。3年までは年金利1%で、4年以降も最大3%に抑える。注目すべきはこの支援策と合わせて、「民間金融機関との協調融資の原則」が取り払われたことだ。民間の金融機関が敬遠するリスクの高い案件について単独で融資する新しい組織を渡辺一社長の直轄というかたちで立ち上げた。

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