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予約が消える“ポンコツ”のワクチン予約サイト、報道に逆切れした岸防衛相の呆れた不見識

文=明石昇二郎/ルポライター
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 ともあれ、このリークは「公益通報」としての情報提供であり、通報者は公益通報者保護法で保護されるべき対象となるのだろう。そうなると、次に危惧されるのは、防衛省が躍起になって“犯人捜し”と“報復”を始めることだった。

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 驚いたのは翌日の5月18日夕方、時事通信が、「防衛省はシステム上の不備を事前に把握していたが、24日の接種スタートを優先し、改修を見送っていた」として、「岸信夫防衛相は18日の記者会見で、国が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種の予約システムを一部改修すると表明した」と報じたことだった。なんと防衛省は、予約システムの不備を知っていながら内緒にして「大規模接種センター」の予約をスタートさせていたのである。

 朝日や毎日の記事に対する岸防衛相の一連のリアクションは、国の安全保障を担う防衛省の面子を潰されて逆切れし、さも“そんなことはお前に言われなくてもわかっていたもんね”と意気がっているのと変わりない。朝日や毎日にケンカを売ったツイートを諫める側近はいなかったのだろうか。

 そして5月21日、筆者の嫌な予感が的中する。同日の東京新聞朝刊は1面トップ記事で、「大規模接種」の予約サイトで正しい接種券番号を入力してもエラーが出て予約できない人が、都内の板橋区や目黒区などで続出していると伝えた。今度は「予約ができない」というのである。いやはや、かなりのポンコツシステムだ。しかし岸防衛相は、東京新聞の報道があってもなお事態を把握できておらず、21日午前の記者会見でもまだ、「利用者に混乱が生じているとの報告はない」と述べていた。大変まずい対応である。

 事態を受け、防衛省は急遽、同日から電話での相談を受け付けることになった。ネットでの予約方法に関する質問に、電話で答えるのだという。でも予約は受け付けず、予約はあくまでもネットを通じて予約サイトでやらなければならないのだそうだ。なんと効率の悪いことをやっているのだろう。

 さらに5月25日、取れたはずの接種予約が消えてしまうケースまであると、同日の東京新聞朝刊が報じる。予約システムそのものに欠陥があることは、もはや誰の目から見ても明らかだった。

 筆者は当サイトで先日、新型コロナワクチンの接種予約にまつわる問題点を指摘する記事を書いたばかりなのだが、どうも我が国にとってワクチンの「予約」は鬼門であるらしい。

一連の報道は誰の役に立ったのか?

 またしても日本国民は、自分の祖国がデジタル後進国であることを思い知らされたわけだが、本稿では、朝日新聞出版と毎日新聞の報道が、公益通報をもとにした「公益性のある報道」なのか、それとも安倍晋三氏が言う「悪質な妨害愉快犯」なのかを検討してみたい。その判断基準となるキーワードは「公益性」であり「皆の役に立ったかどうか」である。

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23:30更新
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