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予約が消える“ポンコツ”のワクチン予約サイト、報道に逆切れした岸防衛相の呆れた不見識

文=明石昇二郎/ルポライター
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 そもそも、予約システムに何の心配もなければ、「防衛省関係者」が身の危険を冒して朝日や毎日等に欠陥情報をリークする必要はさらさらなかった。この関係者氏は、問題が発生した際に責任を取らされる立場の人かもしれない。システムの欠陥が、オペレーションに重大な支障をもたらす危険があり、それに目をつぶったまま、何の対策も取らずに走り出そうとしていたからこそ、予約開始の直後に内部告発した――と考えるのが自然だろう。この「防衛省関係者」氏の行動がなければ、朝日や毎日の報道もまた、なかった。

 しかし、1日1万人の高齢者のワクチン接種を目指すからには、その数倍の人が日々アクセスするサイトとなるだけに、いずれ不具合が生じて欠陥がバレてしまうのは時間の問題だった。前掲の東京新聞の「予約ができない」報道が、まさにそのことを証明している。つまり、防衛省が隠し通すことは不可能だった。

 それに、実在しない接種券番号でも予約ができてしまうことより、その後明らかになった「正しく入力しても予約できない」ことのほうが、よほど問題である。予約ができなければ接種も始まらないわけで、システムの改修が必要なのは「予約できない」ことのほうであるのは論を俟たない。

 もし「予約できない」システムであることのほうが先に世間の知るところとなっていれば、文字どおりの一大スキャンダルに発展し、岸防衛相は間違いなくその責任を追及されたことだろう。ことと次第によっては更迭されていたかもしれない。となると岸氏は朝日や毎日に抗議どころか、感謝しなければならないのかもしれない。

(文=明石昇二郎/ルポライター)

●明石昇二郎/ルポライター、ルポルタージュ研究所代表

1985年東洋大学社会学部応用社会学科マスコミ学専攻卒業。

1987年『朝日ジャーナル』に青森県六ヶ所村の「核燃料サイクル基地」計画を巡るルポを発表し、ルポライターとしてデビュー。その後、『技術と人間』『フライデー』『週刊プレイボーイ』『週刊現代』『サンデー毎日』『週刊金曜日』『週刊朝日』『世界』などで執筆活動。

ルポの対象とするテーマは、原子力発電、食品公害、著作権など多岐にわたる。築地市場や津軽海峡のマグロにも詳しい。

フリーのテレビディレクターとしても活動し、1994年日本テレビ・ニュースプラス1特集「ニッポン紛争地図」で民放連盟賞受賞。

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