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トヨタ章男社長、肝いりの「KINTO FLEX」低調で2年で終了…市場ニーズと乖離

文=桜井遼/ジャーナリスト
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 しかし、「KINTO FLEX」の月額料金が3年3台プランで17万6000円、3年6台プランだと19万8000円と高額だったこともあり、サービス利用者は当初から低迷した。料金には税金や保険料が含まれているとはいえ、契約期間終了後、車両は返却して手元に何も残らないが、3年6台プランの場合、支払総額が約720万円にもなる。あるトヨタの販売会社の役員は「レクサスの新車を6台乗り継ぐことを考えればお得と、トヨタ幹部は考えたかもしれないが、それほどの価値があるとは到底思えない」と、失敗は想定内との見方を示す。

章男社長に「ノー」と言えない社内

「KINTO」の事業化では、豊田社長が「クルマが欲しくなったら簡単にクルマライフをスタートし、違うクルマに乗りたくなったら乗り換え、不要になったら返却する。必要なときにすぐに現れ、思いのままに移動できる、まさに『筋斗雲』のように使っていただきたいと考え『KINTO』と名付けた」とコメント、モビリティカンパニーへの変革を目指す豊田社長が最初から深くかかわってきた。

 このため、トヨタはテレビCMなどの広告宣伝を大々的に展開するなど、販売促進に力を入れてきたほか、トヨタ御用記者に対して「KINTOが好調」と盛んにアピール。「KINTO ONE」の対象車種もどんどん増やしている。しかし、名前にサブスクリプションと冠しているだけで、実態はただのリース商品。消費者の目をごまかせるわけはなく、多くのトヨタ系販売会社が「取り扱いは低調」という。ただ、豊田社長マターだけに簡単に止められるわけではなく、「KINTO ONE」のみ継続する。

「保有」をベースにしたビジネスモデルの崩壊、スタートアップや異業種の新規参入などの危機感から、モビリティカンパニー化を掲げるトヨタ。市場ニーズと乖離した施策であっても豊田社長が関与した時点で社内から「ノー」と言えない状況が続く限り、モビリティカンパニーとして生き残る道は閉ざされている。

(文=桜井遼/ジャーナリスト)

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