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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

太陽生命「感染症保険」販売10万件を突破…「コロナ保険」続々登場で加入者急増

文=黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 また加入する際は、従来の入院一時金保険(20万円)に、感染症を保障の対象に上乗せした感染症プラス入院一時金保険(20万円)をセットにして加入しなければならない。保険料<( )内は感染症プラス入院一時金保険分>は、30歳男性2,680円(440円)、女性3,660円(340円)となっている(保険期間・保険料払込期間10年)。

生命保険の保険料はどうやって決まる?

 これらコロナ保険の保険料が高いのか安いのか。類似商品がないので比較は難しいが、少しコロナ保険が登場した当時の状況を振り返って考えてみよう。

 例えば、太陽生命の「感染症プラス入院一時金保険」の発売が発表されたのが2020年8月中旬のこと。昨年のGWは、コロナの影響で日本全国に緊急事態宣言が発令されており、今年よりも外出自粛が徹底されていた。そのため、お盆こそ帰省したいと考えていた人(かくいう筆者もその一人)も多かったようだが、結局、実家の親から近所の目があるから帰ってくるなと言われ、帰省できない人・しない人が続出していた頃だ。

 つまり、まだまだコロナは収束していない。そんなタイミングで中堅の国内生保である太陽生命が、コロナを対象とする保険を販売すると聞いて、筆者は驚いた。

 というのも、相互扶助のしくみで成り立つ生命保険は、契約者から集めた保険料(収入)と支払った保険金(支出)が等しくなることが基本。これを「収支相等の原則」という。計算式では、「保険金×死亡者数=保険料×契約者数」となる。さらに、どの年代の契約者も平等・公平になるように保険料を設定しなければならない。

 要するに、コロナという病気自体、よくわかっておらず、どれくらいの発生確率、重症率、死亡率があるのかがわからなければ、保険料が算定できないのだ。それを大手生保といえないまでも、一定の保有契約件数のある保険会社が取り扱うというのは、随分と思い切った決断だったろうと察せられる。

 そして、太陽生命では、コロナの感染が拡大した2020年4月、生保各社が災害死亡時の割り増し保障の改定を行ったものの、入院保障による割り増し保障がないことに注目。開発から販売まで5カ月程度という超スピード発売にこぎつけた。

 生命保険の新商品の開発には、1年~2年ほどかかるのが通常であることを考えると、「とにかく早く世に出さねば」という意気込みを感じる動きだったと思う。

コロナの感染状況によって保険料が変動する新タイプの保険

 とはいえ、やはり気になるのは保険料である。前述の通り、保険数理の考え方に基づくと、未知の病気だけに、保険料を高めに設定せざるを得ないのでないかという懸念は払しょくできない。そこで、新たに登場したのは、コロナの感染状況に応じて保険料が変動する新しいタイプのコロナ保険。2021年4月に発売された第一スマート少額短期保険の「コロナminiサポほけん」である。

 第一スマート少短は、第一生命保険が少額短期保険専門として設立された子会社で、コロナに感染していると医師に診断された場合、10万円の給付金が受け取れる。保険料は感染状況に応じて毎月1日に見直され、直近の6月に契約した場合の保険料は3カ月で1270円。今後も、感染状況に応じて毎月見直され、感染者が急増すれば最大2270円まで引き上げられるという。

 このように、需要と供給に応じて価格が変動するしくみは「ダイナミックプライシング」(価格変動制)と呼ばれ、航空券やホテルの宿泊料、駐車場料金などで導入が進んでいるが、生保業界では初めてだろう。

 保険料に罹患者の状況をリアルに反映させるというのは、試みとしては非常に興味深い。しかしこれが果たして、保険という安心を確保したい層に馴染むかどうか。未知数の要素は大きいが、動向を注視したい商品の一つだ。

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17:30更新
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