NEW
黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

太陽生命「感染症保険」販売10万件を突破…「コロナ保険」続々登場で加入者急増

文=黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

コロナ保険には加入すべき?

 では、今の状況も踏まえ、コロナ保険に加入すべきかについて、どう考えれば良いのだろうか? 結論としては、他の保険と同じように「必要な人は加入したほうが良い」という回答に尽きるのだが、知っておきたい判断のポイントは次の3つである。

(1)コロナにかかる医療費は基本的に公費でまかなわれる

(2)コロナによる休業・失業の所得補償の公的制度(雇用保険の基本手当・傷病手当金等)はある

(3)すでに加入中の医療保険もコロナの対象となる

 まず(1)については、ご存じの方も多いだろうが、コロナは感染症法という法律の指定感染症に指定されており、検査や診察、治療、入院等の費用は公費負担となる。つまりお金はかからない。医療保険は、そもそも病気の際の治療費や入院に伴う雑費などの支出増をまかなうため、あるいは入院中の収入減に備えるために加入するものである。

 もちろん、病気になれば、個々の状況に応じて治療費等以外に様々なお金が発生する可能性はあるだろう。とはいえ、大きな経済的損失が発生しないのであれば、保険で備えておく必然性は低い。

 会社員であれば(2)のように、所得補償の公的制度も利用できる。多くの人は、過剰に不安に感じる必要はないはずだ。ただし、自営業・自由業者が加入する国民健康保険に傷病手当金や雇用保険の基本手当は受けられない。

 実は、コロナに関しては、すでに国民健康保険でも傷病手当金の対象となる措置が導入されている。しかし、あくまでも「被用者」限定。自治体の判断によって、それ以外の自営業者に範囲を拡大することも可能だが、現在のところ、岐阜県飛騨市や鳥取県岩美町や一部の自治体が導入するにとどまっている。

 また、埼玉県朝霞市や和光市などでは、国民健康保険の対象者に一律20万円の傷病見舞金を支給するなど、自営業者等に対しては、自治体の対応に大きな開きがあるのが実情だ。さらに、これらの特例のほとんどは2021年6月30日まで等の適用期限が設けられているので、こまめにチェックしておきたい。

 そして(3)について。「コロナ保険」という名前の印象から、コロナに特化した商品でなければ、保障が受けられないと勘違いしていないだろうか?

 現在加入している医療保険でも、コロナで入院等をすれば、給付金は受けられる。自宅療養についても医師の指示があれば保障対象としている商品がほとんどである。

 したがって、まずはコロナに罹患した場合、既加入の医療保険や公的制度等からどのような保障が受けられるのかを、まず確認することが先決である。

 そして、コロナによる医療費以外の支出等を手持ちの預貯金でまかなうことができないかも併せて考えてみよう。それで不足するようなら、医療保険への加入が選択肢として挙がるが、その場合も、一般的な医療保険とコロナ保険のどちらが自分に最適か、保険料と給付内容のバランスをはかることも欠かせない。

無料でコロナ保険に加入する方法もある

 しかし、実は保険料負担なしにコロナに対する保障を準備する方法もある。2020年11月から、大同生命では中小企業支援プロジェクトの一環として前掲のjustInCaseの「コロナ助け合い保険」の無償提供を開始している。

 対象は、従業員数が50人未満の企業(または個人事業)の役員(含む代表者・個人事業主)や従業員。1年分の保険料は大同生命が1億円を上限に負担し、1泊2日の入院で5万円が受け取れる。大同生命の保険契約の有無は問われない、まさに“助け合い”から生まれた取り組みとなっている。1年の保険期間終了後、契約を更新すれば有料になるが、それでも保険料は300~400円程度と少額だ。

 中小企業向けだが、個人向けの医療保険なので、会社でまとまって申し込む必要はない。加入したい場合は、専用サイトに勤務先の法人情報を入力するだけでOKである。

申し込み先

保険選びは、保険会社にも注目して総合的に選ぶ時代

 このほかにも、保険料などの負担なしで、コロナへの保障を提供している保険会社もある。マニュライフ生命では、2020年3月に、同社の保険契約者や被保険者がコロナに感染した場合、入院の有無にかかわらず、診断されれば、5万円をお見舞金として給付する取り組みを行った。すでに、同年6月12日に終了しているが、給付金を受け取った人にとっては、ありがたいの一言に尽きただろう。

 また、フコク生命では、2020年12月から「医療大臣プレミアエイト」の加入者がコロナに感染して入院した場合、入院見舞金を従来の2倍にして支払う「感染症サポートプラス」の取り扱いを開始している。こちらも、追加の保険料は不要で、既契約者についても保障が適用される。

 保険料無料で、保障が手厚くなっている理由は、コロナ禍による外出自粛で、不慮の事故等による給付金の支払いが大幅に減少しているため。その分をコロナへの保障に還元しているわけだ。したがって、倍額給付の保障期間は2022年1月31日までの期間限定となっている。

 コロナが感染拡大する以前、これほど病気が身近な話題になったことはかつてなかった。それだけに、コロナ発症の経済的リスクに対してどのように備えるかも重要な課題だが、個々の状況によってケースバイケース。

 いずれにせよ、自助努力として、保険を活用するのであれば、今後は、保険商品だけでなく、それを取り扱う保険会社の方向性や理念といった根本的な部分にも注目してほしい。

 とりわけ、終身型の保険に加入するのであれば、おつきあいは長期にわたる。保険期間中に今回のコロナのような事態に社会全体が陥った場合、社会貢献のために保険会社がどのような動きをするか。真に顧客本位の経営をしているかどうか。保険に加入する際に是非とも確認しておくべきである。

(文=黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー)

●黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)

情報提供はこちら

RANKING

5:30更新
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合