ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal

当時、筆者は小学生でしたが、ディスクシステムのメディアでの扱いや、実際に出たゲームの内容から「任天堂がファミコンの次を担うハードとして、大きな期待を込めて送り出した」ことは感覚的に理解できていたように思います。
ですが、『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』が登場した1988年ごろになると、クイックディスク以上の容量を持つROMカセットが増え、またバッテリーバックアップ式のRAMを使ったデータセーブも可能となったため、ディスクシステム用の新作はその数を減らしていったのです。
そんな時期に登場した『消えた後継者』でしたが、作品を前編、後編の分作にすることで容量の問題を解決。豊富なビジュアルと、ディスクシステムの拡張サウンド機能を活かした楽曲で、質の高い物語を盛り上げたのです。ちなみにリメイク版はオリジナルのBGMも収録しているので、購入した方はぜひ一度は聴いてみてください。
当時、コマンド選択式のアドベンチャーは人気ジャンルのひとつでしたが、それらの作品群の中でも『消えた後継者』『うしろに立つ少女』は際立った存在でした。物語の構成やトリックだけでなく、その展開の仕方や演出が素晴らしく、現代でも通用する普遍的な「面白さの核」を備えています。
リメイク版は、ビジュアルの動きや演出が現在の基準でも目を引く豪華なものとなり、主人公が見たものをそのまま感じられるような、臨場感のあるゲーム体験を楽しめます。
ですがそのコンセプト自体は、オリジナルであるディスクシステム版からすでに感じられるもの。オリジナルでも登場人物は「まばたき」し、状況の変化に合わせて豊かな表情やポーズを見せていました。リメイク版もそれをしっかりと継承したからこそ、こうしたビジュアルが生まれたわけです。リメイクを担当したのは『STEINS;GATE』シリーズや『メモリーズオフ』シリーズで知られるMAGES.(メージス)。その丁寧な仕事ぶりからは、オリジナルへの確かな敬意と愛を感じました。
ディスクシステム版やその後の移植版を知る人はもちろん、ミステリー仕立ての映画やドラマがお好きな方にも、ぜひ一度は楽しんでほしい作品です。
既存の枠に囚われない『サガ』らしいリマスター
一方、『サガ フロンティア リマスター』(Switch/PS4/Steam/iOS/Android)は当時のビジュアルやサウンドをほとんどそのままの形で高解像度・高音質化した、いわゆるリマスター作品です。
オリジナルは1997年にプレイステーション用ソフトとして発売された作品で、ファンタジー、現代、東洋、SFなどのフレーバーを持った領域(リージョン)が存在し、行き来もできるという、シリーズの原点『魔界塔士サ・ガ』を思わせるカオスな世界が舞台。
選択できる主人公は魔術師のブルー、モデルとして活躍するエミリア、半人半妖のアセルス、故郷のため指輪を集めるモンスターのクーン、失われた自分のルーツを探すメカT260G、変身ヒーローのレッド、そして親のすねをかじる青年リュートと、こちらもバリエーション豊かです。7人もいるので、1人くらいは遊んでみたくなるキャラクターがいるのではないでしょうか(笑)。