丸谷健太「だからゲームがやめられない」

田中将大は負け越し?『パワプロ2020』で本年ペナントをシミュ!意外&夢のある結果?

 発生から2年を経ても収束が見えない新型コロナウイルスの影響下においても、昨シーズン培った感染対策のノウハウをもって今年は例年通り3月に開幕、現在も連日熱戦が繰り広げられているプロ野球。そんなプロ野球のシーズン開幕にあわせて、野球ゲームのほうも2021年仕様にバージョンアップしている。

 野球ゲームの代名詞的存在、『パワプロ』シリーズの最新作、『ebaseball パワフルプロ野球2020』(以下『パワプロ2020』)には、MLBから古巣楽天に帰ってきた田中将大選手に加えて、阪神の佐藤輝明選手を筆頭に、プロ1年目から主力として活躍する新人選手が登場。そのおかげで『パワプロ2020』内でも各球団、実際のプロ野球とほぼ同じオーダーを組んで試合や各種ゲームモードを楽しめるようになり、実質“パワプロ2021”ともいうべきゲーム内容へと進化している。

 そこで今回は、『パワプロ2020』に追加された最新データを使って、2021年のプロ野球の結果をシミュレート。リーグ優勝、日本一に輝く球団はどこなのか、注目選手の成績、意外な活躍を見せる可能性を秘めたスター候補などを探っていきたい。

リーグ優勝はあまりにも”ベタ”な結果に 日本一には多少の波乱

 検証は現実の2021年プロ野球と同じ日程で進んでいく『パワプロ2020』のペナントモードを、選手の操作、采配をCPU任せで消化させていくオート進行で実行。各球団のスタメンや1軍登録選手に関しては可能な限り今年のプロ野球開幕日だった3月26日の状態を再現。先発ローテーションに関しても開幕から1巡するまでの5ないし6試合で先発登板した選手を設定した状態でゲームをスタートさせている。

 ただし、1軍の外国人枠を5人とする特別ルール、1軍にベンチ入りできる選手数の増加といった、“コロナ禍仕様”ともいえる2021年限定のルールには、ペナントモードに(おそらくあえて)反映されていないため、『パワプロ』で再現することはできなかった。

 加えてケガで出遅れた選手や入国手続きの関係でチーム合流が遅れた外国人選手を指定の日時まで使用禁止にすることもできなかった(シーズンが始まるとCPUの判断で選手の入れ替えを行なうため)点もご容赦いただきたい。

コロナウイルスにまつわるイベント(陽性反応が出た選手の入れ替えなど)、9回打ち切りルールは再現されていない。なお、東京オリンピック2020は確実に開催され、ゲーム内でも3週間ほどの中断期間が設けられる

 いざペナントレースを開始させてみると、やはりパ・リーグはソフトバンク、セ・リーグは巨人が頭ひとつ抜けだす展開でスタート。パ・リーグに関しては強力投手陣を擁する楽天と、投打が絶妙に噛み合った日本ハムが健闘して10月上旬までくらいつくも、セのほうはオールスター+オリンピック中断期間明けの8月には大勢が決する形に。レギュラーシーズン終了後のクライマックスシリーズでも波乱は起きず、日本シリーズはソフトバンクvs.巨人、結果は4-0でソフトバンク……という、まるで2020年のペナントレースをトレースしたかのような結果に落ち着いてしまった。

写真は1回目のオートペナントの結果。2位争いを演じるチームの顔ぶれは2020年と異なるものの、リーグ優勝と日本一に輝いたチームは3年連続で同じ形に収まった

 こんなベタベタな結果ではあまりにも寒すぎる、なによりも企画倒れで記事にもならないということで、急遽同じ設定でペナントレースを計10回ほど繰り返してみた。しかしソフトバンク、巨人の安定感は抜群で、両チームともに9/10回、9割の確率でリーグ優勝を達成。優勝を逃した1回は、ソフトバンクの場合は楽天の快進撃(田中将、涌井、則本投手らがそろって大幅勝ち越し&規定投球回数達成)、巨人の場合は坂本選手のケガ、戸郷投手のスランプが重なっての失速と阪神の追い上げが重なって、ようやくリーグ王者の座を明け渡すという流れでしかシーズンの結果は変わらなかった。

10回行ったオートペナントで、ソフトバンクと巨人の両方がリーグ優勝を逃すケースはゼロ。ソフトバンクに関しては1度も3位以下に落ちることはなかった。写真はレア中のレアケース、坂本のケガが響いて巨人が4位でシーズンを終えた回

 ただしクライマックスシリーズ、日本シリーズになると話は別で、ここではオリックスや中日が整備された投手陣の力を背景に勝ち上がってきたり、3位でシーズンを終えた西武、阪神が打撃戦を制して日本シリーズに進出してくるといった波乱が何度か見られた。また、日本シリーズがソフトバンク対巨人の組み合わせになっても、昨年や一昨年のような4勝0敗で終わることはまれで、シリーズ6、7戦目までもつれるケースが大半と、むしろ巨人が勝つケースのほうが多かったソフトバンク対巨人でソフトバンクが日本一になったのは5回中2回、巨人は3回。

 10回という試行回数ではあるが、短期決戦に関しては現実以上に『パワプロ』のほうが夢のある結果になったといえるのではないだろうか。

レギュラーシーズンで3位に入れば、現実のプロ野球では下馬評の低いオリックスのようなチームが、突出したエース(山本、山岡)や万能打者(吉田正)の活躍で日本シリーズに進出するケースも見られた
写真はオートペナントで唯一日本シリーズにソフトバンクと巨人両方が絡まなかった組み合わせ。ちなみに10回のシミュレート中、クライマックスシリーズに一度も絡めなかった球団は、パはロッテのみ、セは横浜とヤクルトの2球団。ただ3球団ともに、6、7月までは上位争いを演じるケースは何度かあった

選手成績にはバラつきあり、『パワプロ』独自の起用法が光る場面も?

 レギュラーシーズンの順位に関しては筆者の予想よりも固定化されていた印象だったが、各球団に所属する選手の個人成績に関しては、10度行ったペナントレースの中で目に見える形で成績が浮き沈みしているケースが多かった。

 特に2021年度版で追加されたルーキーや、開幕直後の活躍で1軍に定着した選手(オリックスの宮城投手など)はその傾向が顕著。たとえば阪神の佐藤輝選手は、最高に活躍した年だと打率は.210ながらホームランを29本放って新人王を獲得するが、悪い時は打率.170でスタメン落ち。楽天の早川投手であればシーズン途中でローテーションを外され中継ぎないし2軍行き、5勝前後で終わることもあれば、15勝6敗でチームの勝ち頭となるなど、かなり振れ幅が大きかった。

 メジャー帰りの田中投手も、防御率は2~3点台半ばに収束するものの、勝ち星に関しては流動的。15勝前後を挙げて5から8つの貯金を作ってシーズンを終えることが大半ではあったが、9勝10敗、8勝9敗など、勝ち越せない場合もあった。

ルーキー、若手選手の起用に関しては、明らかに現実より『パワプロ』のほうがシビア。先発投手の駒がそろっていたり(楽天の早川投手、ロッテの鈴木投手など)、同ポジションに好打者がいると(横浜DeNAの牧選手)規定投球回数や規定打席を達成できないことが多い
HQSやFIPといったセイバーメトリクス的な指標では安定した数字を残す田中投手だが、勝ち星はバラつくことが多かった。また、高確率(7/10回)でシーズン終了後にFA宣言するのも印象的

 そしてソフトバンクと巨人を除くチームは、田中投手のような主力級が、それっぽい(ファンがイメージする期待通りの)成績を残せるかで、クライマックスシリーズに進めるかどうかが決まる印象。西武であれば森、山川、栗山、スパンジェンバーグ選手あたりのうち3人が.280前後かつ2ケタ本塁打、中日なら大野雄大以外の投手に加えて福谷、柳、小笠原あたりから2人は規定投球回数に達するなど、その球団のストロングポイントが正しく機能しなくては、上位に進出することは難しいようだ。

西武、日本ハム、中日、広島あたりの主力の投打がかみ合うと、クライマックスシリーズで下克上が起きることが多かった

 しかし10回中10回、ほとんど成績が高いレベルでブレない選手も少なからずおり、そういったタイプの選手が打者、投手ともに複数いるチームは強い。つまりソフトバンクと巨人には安定感がある、『パワプロ』的に超優良な選手が多く在籍していることがわかった。

 たとえばソフトバンクなら千賀、石川投手の防御率や奪三振数、柳田、中村晃、グラシアル選手といった主力打者の打率や本塁打が大きく悪化することはなかったし、巨人の場合は菅野投手の成績が圧倒的で、最多勝はほぼ当確(防御率やベストナインは大野雄大投手と分け合うことも)。加えて坂本、丸、岡本選手あたりの野手陣はケガさえなければベストナインには100%ノミネート。リーグMVPも投手なら菅野or戸郷選手、打者なら岡本選手か坂本選手あたりが獲得する、“巨人内での持ち回り制”のようになっていた。

 名の知れた打者、先発投手であっても成績が乱高下しやすい『パワプロ』のペナントだが、ほぼ全球団で安定した成績を残すポジションもあった。それは勝ちパターンで登板する中継ぎ、抑え投手だ。

 特に8、9回で起用される投手は顕著で、ここで起用されたルーキーはかなり高い確率で新人王に輝く傾向が高かった。具体的な名前を出すと、中日のドラ2ルーキーの森投手、そしてペナント開始時は先発で起用設定していても、必ず抑えで起用されるようになる日本ハムの伊藤投手が、ほぼ確実に新人王を獲得していた(森投手は8/10、伊藤投手は9/10回の確率で新人王に)。

 森投手は現在(5月2日)の時点で1軍登録なし、伊藤投手は先発ローテーションの一角として活躍しているので『パワプロ』的起用で新人王に名乗りをあげることは難しそうだが、中継ぎ、抑えで1軍に定着している新人選手、たとえば広島の栗林投手あたりに注目して「今年のルーキーは佐藤輝もいいけど新人王は栗林だね!」と周りに言っておいたりしておくと、シーズン終了後にドヤ顔で自慢(?)できるかもしれない。

『パワプロ2020』内の栗山監督には(?)、抑えとして評価されている伊藤投手。検証の10回中、すべてで30S以上を記録

『パワプロ』の最新データを利用することで、2021年のプロ野球ペナントレースのさまざまな可能性を垣間見ることができた(はずの)今回の企画。個人的には20年ほど応援している千葉ロッテマリーンズが何回やっても下位に沈むのはゲームといえども悲しかったが、毎回微妙に活躍する選手が変わる点、意外と高い確率で起こるクライマックスシリーズ&日本シリーズの番狂わせは見ていて楽しかった。

 なお、『パワプロ2020』の最新バージョンには選手データ以外にもさまざまな新要素が追加されているので、今回興味を持った人はぜひ触ってみてほしい。

現役選手に加えてOB選手、さらには“覚醒ダルビッシュ”“理想のマエケン”といったオリジナル選手も追加されている。ちなみに覚醒ダルビッシュと理想のマエケンは本人監修。彼らを古巣に加入させたアレンジチームでペナントを遊ぶことも可能だ。

(文=丸谷健太/ライター)

ゲーム名:ebaseball パワフルプロ野球2020

メーカー:コナミ

対応機種:PlayStation4、Nintendo Switch

ジャンル:スポーツ

発売日:2020年7月9日

価格:8778円(PlayStation4、税込)、7678円(Nintendo Switch、税込)

丸谷健太/ライター

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