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菅原・前経産相からカニやメロンの寄付を受け取った有権者側は公選法で何のお咎めもないのか?

文=明石昇二郎/ルポライター
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 筆者は今から30年ほど前、買収目的の現金が乱れ飛ぶ青森県の選挙を密着取材したことがある。ある地区にA候補陣営が有権者一人当たり3万円をばら撒けば、それを聞き付けたB候補陣営は数日後に5万円をばら撒くという、いわゆる「津軽選挙」というヤツだ。住み込み取材をしていた筆者のところにまで運動員が金を持ってきたこともあった。引っ越してきたばかりで選挙権がないことを告げると、運動員氏は「わかっていれば引っ越し代もウチで出してやったのに」と、大変残念がっていた。衆議院東京9区の有権者は、こうした「津軽選挙」を嗤うことができまい。かなり恥ずかしい事態で、自分が東京9区の有権者であることを、しばらく内緒にしておきたいほどだ。

 実は1994年、当時は練馬区議会議員だった菅原氏にお目にかかったことがある。某民放テレビの報道番組の取材で、練馬区議会の自民党会派の控室を訪ねた時、菅原氏に挨拶していた。その際、人目もカメラもはばからず鼻をほじっていた姿が大変印象的だった。“脇の甘い人だな”と思ったからにほかならない。菅原氏がその9年後の2003年、代議士となった時には「あの時のあの人か……」と、たいそう不安に思ったものである。

 案の定、代議士になって以降の菅原氏は、経歴詐称疑惑や女性スキャンダルなどで「週刊文春」や「週刊新潮」から狙われ続けた。なかでも、地元有権者にメロンやカニなどを贈った疑惑や、公設秘書が次々と退職していることなどを報じた「週刊文春」2019年10月17日号と同10月31日号が、東京9区の有権者や代議士本人に与えたインパクトは大きかったようだ。その1カ月前の同年9月に経済産業大臣に就任したばかりの菅原氏は、10月25日、任命権者の安倍晋三首相(当時)に辞表を提出し、受理されていた。

 その後、菅原氏の「寄付行為」疑惑は刑事告発され、東京地検特捜部が不起訴処分(起訴猶予)にした後、検察審査会へと送られ、今年2月、東京第四検察審査会は菅原氏の行為を「起訴相当」と議決。事件は再び東京地検特捜部へと戻され、再捜査の結果、それまでとは別件の現金提供疑惑まで浮上し、6月11日の再処分期限までに、公選法違反(選挙区内での寄付の禁止)の容疑で略式起訴される見通し――と報じられていた。

検察や裁判官から「情け」をかけてもらう方法

「寄付行為」疑惑の発覚後、菅原氏は1年以上にわたり、自民党離党や議員辞職を頑なに拒んできた。それがここにきて一転、代議士を辞めるのだという。なぜか。

「制度上、6月に入って辞職すれば去年12月から半年分のボーナス(約314万円)をまるまる受けられることになり納得できない国民はたくさんいるはずだ。ボーナスだけもらって国会から『とんずら』することは許されない」(立憲民主党の安住淳・国会対策委員長。カッコ内は筆者の補足。NHKオンライン2021年6月3日 0時03分より)

「ボーナスにあたる期末手当てが受け取れる6月1日の(議員辞職願の)提出というのは、本当によく考えたと思う。政治とカネの問題で、何の反省もしていない証拠だ」(共産党の穀田国会対策委員長。カッコ内は筆者の補足。NHKオンライン2021年6月3日 0時03分より)

 こうした見立てに対し、当の菅原氏本人がフェイスブックで反論する

すがわら一秀 2021年6月2日

昨日、議員辞職願を提出しました。明日の本会議で辞職の許可がされる予定です。検察の処分が6月とのことで、それまで任期を全うしようとしました。

尚、月末予定の期末手当(昨12月~今5月分)は当初より、全額返上するつもりでしたので、その手続きに入ります。

法律上、返上が叶わなければ、昨年同様、被災地に全額お送りさせていただきます。

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23:30更新
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