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東京都・学校図書館の民間委託を廃止させた都議に聞く(3)…民間委託加速の潮流に待った

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

--最後は、3月23日の締めくくり総括でしたね。都民ファーストの会の森村隆行都議がまとめて教育長に質問していますが、このときも事前にやりとりがあったのでしょうか?

米川都議 はい。こういうかたちで、こういうスケジュールでやります、となりました。あとは、各学校図書館の運営を支援する図書館コーディネーターの配置を検討する、研修も行う、コーディネーターも予算要求必要だけど入れる、となりました。1人勤務のところは、対応しない限り違法の可能性は残ったままなので、ここは絶対にダメだよと指摘し、追加契約で1人勤務の時間帯にもう1人入れることにしました。ここは特に肝となるところなので、念押ししたら「わかりました」と答えられました。

--そうおっしゃったのはいつですか?

米川都議 3月19日か20日くらいです。ペーパーを出してもらいました。向こうが書いてきたものを政調会長が受けて、僕がチェックして、「これなら問題ない、いいですよ」となりました。

 この時点では、都教委としては駆け引きもなくなっていました。「もし委託をこのまま続けるのなら、必ず反対するからね」と公言していましたので。

 ここまでくると、やはり生徒と教員がかかわる業務を、なぜ切り分けたのか、素朴に誰もが疑問に感じるレベルです。本当に費用が安くなるのかというと、なっていないんです。形だけ、学校図書館があるということならば、お金をかけないで、ビルメンテナンス業者に任せればいいでしょう。けれども、本当に教育機関の施設の一部として活用するのであれば、学校教育のなかで業務が分けられると発想すること自体が、教育を知らないんだろうと思います。

--その間、1月中旬には、委託化された都立高校に偽装請負の疑いで労働局の調査が入り、2月には都の定期監査によって、令和元年分として仕様書通り従事者を配置していない違反事例が報告されました。

米川都議 あれは大きかったですね。特に監査は僕が完全に見落としていたんですよ。監査事務局が普通に定期監査をしたら、たまたま違反がみつかったということです。

 本当は各学校へ行かないといけないところを、今年はコロナ対策のため、ひとつの学校に資料を全部集めさせて、そこで見ていました。契約資料や日報、月報などを出させてみていく方式です。

--来館者が多い時間帯に、契約通り従事者が配置されていないことが、よくわかりましたね。

米川都議 仕様書で2名配置になっていた時間帯に、日報には1人しか書いていない。それなのに完了報告書を出していたので、委託費は満額払われていました。指摘を受けたあとに、教育委員会は監査事務局に報告しなければいけません。それは全部返金させますということでした。

--全面勝利に終わりましたが、いま振り返って、ポイントはどこだったと思いますか?

米川都議 やはり去年の4月、仕様書が変わっていたことがわかったこと。あれで、内部情報がなくても、おかしいということが指摘できるようになりました。仕様書をよくみて、どこがおかしいかを言えたからです。もうひとつは2015年に東京労働局から偽装請負で是正指導をされていた事実があったこと。それを改めたにもかかわらず問題のある内容だったというのが大きかったと思います。

--今後の目標は?

米川都議 都立高校・学校図書館の件は、もちろん今回の件で終わりということではなく、委託は廃止されても、これから配置される学校司書は、立場の不安定な非正規雇用です。そのため、委託廃止方針が出たことで、これまで「マイナス100」だったものが、やっと「0.1」になったにすぎません。正規司書の採用や全課程への配置などは大きな課題ですので、これからも続けて取り組んでいくつもりです。

--ありがとうございました。

(文=日向咲嗣/ジャーナリスト)

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