NEW

パチンコ業界の衰退が止まらない本当の理由…タイアップ台の弊害と版権マネーの裏事情

文=山下辰雄/パチンコライター
【この記事のキーワード】, , , ,

タイアップ台をつくることに慣れると、演出のマンネリ化が起こります。原作を読み、印象深いセリフや場面を抜き出して、会話予告やスーパーリーチに当てはめるだけの流れ作業になってしまうんです。ただでさえ、今やほとんどの機種が擬似連、保留変化、ステップアップ予告、群予告を搭載。リーチ後に役モノが動けばアツく、スーパーリーチ中はカットイン演出の色で信頼度が変化といった“ありきたりな演出”ばかり。それでは開発者のスキルは磨かれません」(同)

 確かに、最近のパチンコ台は原作を知らなくても「擬似連続予告」の回数や演出の色で、だいたいの期待度がわかってしまう。「原作の世界観をパチンコ演出の“アツさ”に落とし込む努力を放棄して、ただ型にはめ込む作業をしているのが、今のパチンコ・パチスロ業界なんです」とT氏は嘆く。

「どの台を打っても一緒」でユーザーが激減

 そうした効率化によって開発の時間やコストを抑えられるのなら「致し方ない」と言う人もいるだろう。しかし、実際は液晶のクオリティを上げることでROMが高容量化し、筐体や役モノが大きく派手になることで機械代が高騰する。そのため、ホールは新台導入直後でさえ“機械代回収モード”として辛い使い方をせざるを得なくなり、そのしわ寄せはユーザーに来てしまう。

「今は、どの台を打っても中身は一緒。こんな状況で新規ユーザーが増えるわけありませんよね。既存ユーザーがどんどん減り、残るのは“ギャンブル依存症”に近いヘビーユーザーばかり。業界が衰退するのは当たり前です」(同)

「昔は良かった」なんて口にするのは、新しい時代に馴染めない年寄りみたいで嫌だ、とT氏は苦笑いする。

「昔のオリジナル台は、今の洗練された機械と比べると、確かにチープかもしれません。でも、独特の世界観があり、開発者の趣味や意図が見えた。最近のように長い上に簡単にハズれるスーパーリーチではなく、短いリーチでも十分にワクワクできた。だからもう一度、開発の原点に戻り、盤面や役モノ、音や演出を含めてパチンコ台の世界観をイチからつくり上げるということを開発者は勉強するべきですね」(同)

 某メーカーの社員時代、大ヒット作も失敗作も経験し、いろいろな開発者の姿を見てきたT氏だからこそ、タイアップ台に頼りすぎる現状が歯がゆいのだろう。今は液晶開発会社の社長として、若手社員から“開発者魂”が感じられず、マニュアル通りにこなすオペレーター気質な社員が増えていることも気がかりだという。

RANKING

17:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合