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木村隆志「現代放送のミカタ」

『着飾る恋には理由があって』なぜ“死角なきドラマ”が不発?川口春奈の不運とTBSの誤算

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト

オシャレでカッコよすぎる映像

 しかし、最近の『火曜ドラマ』のようにツイッターが盛り上がることはなく、ほとんどネットニュースにもなっていない。そんな寂しい状態を招いている理由は、「映像がスタイリッシュすぎて、視聴者が自分を投影させづらいから」ではないか。当作の大半が「オシャレ」「カッコイイ」と思わせるシーンやシチュエーションで占められ、「熱心に見て感情移入する」というより、「美しいものを鑑賞して楽しむ」というイメージの作品になっているのだ。

 それは“キュン”シーンだけではなく、劇中には、モダンでピカピカな家、都会的なオフィス、優雅なボーダーコリー、センスのいいキッチンカーなど、鑑賞して楽しめる「オシャレ」「カッコイイ」ものが目白押し。

 とりわけ駿の料理シーンは、同じ塚原あゆ子がチーフ演出を務めた『グランメゾン東京』を思い出させるほど美しい。実際、第8話で登場したメニューは、「サーモンのプディング」「タコのガリシア風」「ガスパッチョ 初鰹、水茄子、ブラータチーズ」「グレープフルーツスープとヨーグルトのソルベ」「夏鱈、ホワイトアスパラ 天火焼き 藁の軽いスモーク」と、まるでレストランのプロモーションビデオを見ているように鮮やかだった。

「作り手が技術に酔ってしまったのではないか」と疑いたくなるほど、オシャレでカッコよすぎて、ラブストーリーに重要な感情移入がしづらくなってしまったのだ。

「どちらと結ばれても幸せ」は確定か

 では残り2話で、視聴者の共感を集め、“キュン”シーンでときめかせることはできるのか。

 くるみ、駿、葉山の三角関係がどんな決着になったところで、それほどの熱狂は生まれないだろう。2人は天才シェフとやり手ビジネスパーソンである上に、最高峰のイケメンで人柄もいいのだから、どちらと結ばれても幸せに決まっているからだ。事実、これまでネット上のコメントでは、駿と葉山の人気がほぼ同等レベルだった。

 むしろ、これまでのスタイリッシュ路線を極めて、クライマックスではこれまで見たことがないくらいの「オシャレ」「カッコイイ」シーンを見せるほうが大きな反響を得られるのではないか。塚原監督と新井プロデューサーのコンビならそれを実現するだけの力があるだけに、最後にアッと驚かせてくれるかもしれない。

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