
警視庁は1日、早稲田大学社会科学部助教の丸山隼人容疑者(39)を、教え子の女子大学生に対する強制わいせつの疑いで逮捕したと発表した。各社報道によると被害に遭ったのは、丸山容疑者が非常勤講師を務めていた別の大学の教え子で、当人は容疑を否認しているという。
「起業の相談に乗る」などと2人で会食へ
朝日新聞デジタルが1日に公開した記事『教え子の顔なめた疑い、早稲田大助教を逮捕 容疑を否認』は、次のようにその容疑を詳述している。
「目白署によると、逮捕容疑は5月7日夕~夜、東京都豊島区の居酒屋で学生のひざや胸を触ったほか、近くの路上で抱きついたり顔をなめたりしたというもの。学生が『やめてください』と繰り返しても行為を続けた疑いがあるという。学生が警視庁に相談した。
丸山容疑者は当時、学生が履修していた授業の担当教員だった。『起業の相談を受ける』と学生を個別に食事に誘ったという」
丸山容疑者は元国連機関スタッフだった
丸山容疑者を知る外務省関係者は語る。
「ニュースを見てびっくりしました。彼は有名商社勤務を経て2007~08年、国連開発計画(UNDP)のスタッフとして東チモールのディリにいたと聞いています。彼がいたころの東チモールは国軍のストライキに端を発した紛争が起こり、02年の同国の独立以降、最も厳しい情勢下にあったはずです。その後、国際協力機構(JICA)の職員としてバングラデシュなどに赴任しました。
中小企業診断士の資格を取得した後、国際機関で培った人脈を生かして、日本国内で起業したり、働いたりするアジアの20代くらいの若い女性を支援していると聞いていましたが……。早稲田の助教には去年、就任したはずです。報道されている容疑が事実だとすればショックです」
ちなみに丸山容疑者は、2017年に立ち上げた中小企業の新規事業や海外展開などを支援する自身のコンサルタント会社の公式サイト上で、以下のような経歴を記載していた。
「官民双方の立場で国内外における農林水産・経済社会インフラ・伝統産業分野の事業に従事。日本企業約30社の新規事業・海外展開支援実績(2017年8月時点)。
国際協力機構(JICA)をはじめとする公的機関等より累計6億円以上の海外事業にかかる受注・資金調達実績。海外駐在・出張歴は累計8年間・100回以上。国内地方出張も多数経験。
商社勤務時代にアラスカの蟹工船に計1か月乗船し、買付交渉・品質管理・技術指導に従事。
早稲田大学社会科学研究科博士後期課程に在籍し、日本企業の東南アジア展開にかかる研究分析・政策提言・産官学連携に従事」(原文ママ)
”アラスカの蟹工船”での経験を含めて輝かしい経歴だ。一方で、最近の丸山容疑者を知る早稲田大学関係者は次のように話す。
「東京都などの緊急事態宣言が続いていた今年3月12日、突然、Facebook上で『昼下がりの(アベノ)マスク会食』と銘打って、そば焼酎をグイッとやる自身の写真をアップしてびっくりしたのを覚えています。東日本大震災10年の翌日のことでした。“おひとり様”の食事のようですから新型コロナウイルスの感染対策で非難されることではありませんし、お店の料理の写真も合わせて掲載していたので、きっと支援している東南アジア出身の方のお店の紹介も兼ねてのことだと思うのですが……。コロナ禍もあって、ちょっとご自身や支援先の事業が大変で、やさぐれた気分なのかなと心配していました」
就職や起業に悩む大学生の弱みに付け込む犯罪が後を絶たない。今年6月2日には文春オンライン(文藝春秋)が記事『「厳重な処分を行う」近鉄採用担当者が就活中の女子学生に“不適切行為”』をスクープし、世間を震撼させた。
果たして今回の事件の真相はいかに――。
(文=編集部)