加えて東京五輪の基本コンセプトには「多様性と調和」も掲げられている。さらに組織委は14日、オリパラの開閉会式の共通コンセプトを「前を向いて生きるエネルギー」という意味を込めた「Moving Forward」と発表したばかりだ。小山田氏が自身の差別的な行動を反省しているのか、今どう考えているのかを語ることなくして、“五輪憲章を尊守したオリンピアンだ”と名乗るのは難しい情勢だろう。

 関東地方の障害者スポーツ協会の幹部は憤る。

「人間誰しも、完璧で清廉潔白な人生を送っているわけではありません。若いころには過ちもあるでしょう。いじめた経験がある人間が、五輪の開会式に携わるのが問題だということではありません。

 社会的に影響力が高いミュージシャンが、不特定多数が目にする雑誌に、ご自身が正しいと思ってそのような主張をしていたということ。そして、それ以降、このインタビューに関する新たな発信をされたのでしょうか。それがないのが大きな問題なのだと思います。今も同じ考えであるのならオリンピアンにはそぐわないのではないでしょうか。

 『昔のことだから』『そういう時代だったから』で済むことと、済まないことはあります。少なくとも今回の問題は、公の立場の人の、公の場での発言をめぐる騒動です。ネット上でもインタビュー記事を読みましたが、いじめた相手に対して反省の気持ちはもちろん、『悪いことをした』という思いもないように見えました。今は、そこから成長されたのでしょうか。

 パラリンピアンは自身の障害も含めて、人間関係や社会など多くのハードルや差別を超えて、これから競技に臨みます。オリンピアンもまた同じく、ダメな自分や弱い自分を乗り越えて、出場します。少なくとも、“自分を振り返ることのできない人物”にオリパラの舞台に立つ資格はないのではありませんか。小山田さんがインタビューに応じた時から成長されたのかを知りたいと思います」

 同様の意見は障害者スポーツ団体の関係者から複数聞かれた。当編集部は日本パラリンピック委員会に「今回の騒動を関知しているのか」「障害者を含めたあらゆる差別に関してどのような見解を持っているのか」を聞いたところ、以下のような回答があった。

「小山田氏の過去のインタビュー記事につきましては、報道を通じて初めて知りまして、それ以上のことは把握しておりません。公益財団法人日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会(JPC)は『障がいの有無、性別、年齢、国籍や、価値観、性格の違いなど多様性を尊重し、誰もが個性を発揮して活躍できる共生社会の実現』を目指しております」

 また「クイック・ジャパン」の太田出版にも、今回の騒動に関する受け止めを聞いている。それぞれ回答があれば追記する。なお、ロッキング・オン・ジャパン編集部は現在テレワーク中とのことで、担当者につながらなかった。

(文・構成=編集部)

 

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