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藤和彦「日本と世界の先を読む」

WHO、武漢ウイルス研究所流出説の排除の圧力認める…姿勢一転、中国で再調査の方針、追及強める

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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 6月6日付ウォール・ストリート・ジャーナルは「米カリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所は、新型コロナウイルスの起源について『中国の武漢ウイルス研究所から流出した』とする仮説は妥当だと判断し、さらなる調査が実施されるべきだと結論付けていた」と報じた。同研究所は生物学に関する専門知識が豊富なことで知られ、新型コロナウイルスのゲノム解析などを行い20年5月に報告書を作成していた。新型コロナウイルスからCGG-CGGという組み合わせの塩基配列が発見されたが、このような塩基配列は自然界では存在せず、ウイルスの感染力を高めるなどの実験を行う際に人為的に注入されることが多いとされている。

 研究所からの流出に関しては、豪紙オーストラリアンは6月27日、「中国当局はかつて国連に提出した文書で『自国の研究所から人口ウイルスが漏洩するリスクがある』と認めていた」と報じたが、現在の中国の安全管理はさらに悪化している可能性が高い。

北京五輪への反発

 武漢ウイルス研究所と人民解放軍の関係にも注目が集まっている。米下院の共和党議員が6月29日に開いた公聴会では、「人民解放軍が19年に武漢ウイルス研究所を接収した」などの証言が相次いだ。武漢ウイルス研究所でコウモリに由来するコロナウイルス研究を主導する石正麗氏は人民解放軍との協力関係を一貫して否定しているが、米NBCニュースは6月30日「石氏が人民解放軍の研究者とともにコロナウイルスの研究を行っていた証拠を掴んだ」と報じた。

 このような状況から、過半数の米国人が「研究所流出説」を信じるようになっている。米ニュースサイト「ポリテイコ」などが6月下旬に実施した世論調査によれば、52%が「新型コロナウイルスは中国の研究所から漏洩した」と回答した。49%が「中国の研究所が新型コロナウイルスを開発した」との見方を示し、25%が「中国当局が故意に新型コロナウイルスを作り、意図的にウイルスを放出した」と回答したという。米ピュー・リサーチ・センターが昨年3月に実施した世論調査の結果(「新型コロナウイルスは中国の研究室で発生した」と回答した米国人は29%のみ)とは様変わりである。

 バイデン政権の高官たちも「研究所流出説は野生動物から自然に発生した可能性と同程度である」と認識していることが明らかになっている(7月18日付CNN)。さらに米シンクタンク「セキュリティー・ポリシー・センター」が7月初めに実施した世論調査によれば、63%が「中国当局に損害賠償を請求すべきだ」と回答している。

 ペンス前副大統領は14日「新型コロナウイルスの起源に関する調査に中国が全面協力しないなら、米国は22年の冬季五輪の開催地変更を明確に要求すべきだ」と主張した。中国政府が今後協力的になる可能性は極めて低いが、これにより国際的な孤立は深まり、北京五輪への反発は一層強まることだけは間違いないだろう。

(文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー)

●藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー

1984年 通商産業省入省

1991年 ドイツ留学(JETRO研修生)

1996年 警察庁へ出向(岩手県警警務部長)

1998年 石油公団へ出向(備蓄計画課長、総務課長)

2003年 内閣官房へ出向(内閣情報調査室内閣参事官、内閣情報分析官)

2011年 公益財団法人世界平和研究所へ出向(主任研究員)

2016年 経済産業研究所上席研究員

2021年 現職

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