トヨタ、データ改ざん不正続出…原因は“裸の王様”章男社長が主導した無理な「短時間車検」

「顧客よりも章男社長ファースト」

 プラザ豊橋、レクサス高輪のサービス部門の社員が不正に走ったのは短時間車検に原因があると説明する。「短時間車検」で決められた時間内に車検を処理するため、検査項目を省いたり、再検査しないで済むように数値を改ざんしていたという。

 トヨタは販売会社の収益の柱となるアフターサービスに注力しており、車検を効率的に処理する短時間車検の導入を販売会社に推進してきた。そしてこれを主導したのがトヨタの豊田章男社長だった。

 一方で、トヨタは新型車を積極的に投入して国内新車シェアを伸ばし、トヨタ車の保有台数は増加の一途をたどっている。しかし、若者のクルマ離れの影響もあって、どの販売会社もメカニックが恒常的に不足しており、とくにトヨタ系の販売会社はサービス受け入れ能力が限界を迎えている。

 それだけではない。衝突被害軽減ブレーキなどの先進的な装備の普及など、自動車の電子化もあって一般の整備工場では対応できない修理なども増えており、正規ディーラーにアフターサービスを依頼する傾向が強まっている。

 さらに、トヨタグループであるデンソー製の燃料ポンプの不具合による大量リコールなどもあって、販売会社のサービス工場はフル稼働の状態が続いている。本来ならトヨタが主導してアフターサービスの受け入れ体制など、抜本的な見直しが急務だったはずだが、トヨタの販売店担当者は「短時間車検で効率をアップして処理能力を増やせとしかいわない」(トヨタ系販売会社)という。

 豊田社長に反論すると左遷されるという意識が根付いているトヨタだけに、短時間車検による弊害を誰も指摘できなくなっていた。「トヨタグループは上から下まで、顧客よりも章男社長ファースト」(トヨタ系ディーラー)の状態が続く。

パワハラ問題も発覚

 しかも豊田社長を頂点とするヒエラルキーが固まってしまっているせいか、部下の人格を否定する社風がグループ全体に広がっている。トヨタ系のカー用品販売店「ジェームス」を展開するなど、トヨタの国内カー用品・補修部品販売統括会社として20年1月に発足したトヨタモビリティパーツの初代社長に就任した吉武一郎氏が7月30日付けで突如辞任した。複数の社員に対して不適切な言動があったことが理由だ。トヨタは上司のパワハラで自殺した社員の遺族と4月に和解したばかり。それだけに新たなパワハラ問題の発覚を、早々に処理したようだ。

 ただ、自殺した社員の遺族に対して豊田社長は謝罪するとともに、人事制度見直しなどの再発防止策を約束したばかりで、舌の根の乾かぬうちに新たなパワハラ問題が起こっていたことになる。

 グローバルで新車販売が好調で業績も好調なトヨタ。しかし、周囲の批判の声をことごとく抹消し、事実上「裸の王様」となっている豊田社長や現在のトヨタの社風に対して、表に出さなくても内心、不満を抱いている社員は少なくない。そしてそれを示すかのように相次いで発覚している不祥事は氷山の一角かもしれない。トヨタが転落する日はそう遠くない。

(文=桜井遼/ジャーナリスト)

関連記事
編集部イチオシ企画
Pick Up News

RANKING

企業・業界

ビジネス

総合

SNS