NEW
高安雄一「指標でみる韓国経済の今」

なぜ韓国経済は、コロナ禍による落ち込みが軽微だったのか?「設備投資」から読み解く

文=高安雄一/大東文化大学教授
【この記事のキーワード】, ,

 まず最近の動きである。2021年7月30日に公表された6月の数値は、前月比(季節調整済、以下同じ)で0.2%減少した。そして前月の5月は2.9%の減少であったが、さらに前月の4月は3.1%の増加であった。傾向をつかむため、3カ月移動平均の数値の前月比をみると、6月は0.0%増と横ばいであり、その前の2カ月間もほぼゼロに近い数値である。よって設備投資はほとんど増加しておらず、この直近3カ月間の動きから判断すると設備投資は不振のようにもみえる。

 ただし設備投資は、個人消費や輸出といった需要項目が軒並みコロナ禍で昨年夏頃まで大きく減少していたのに対し、ほとんど減少しなかった。つまりコロナ禍の影響をほとんど受けなかった。数値で確認すると、コロナ禍直前の2019年12月の設備投資指数は100.0であったが、2020年3月に99.0までわずかに減少して以降は増加が続き、2021年6月には112.3となり、年率に換算すると8.0%増加した。

 以上から判断すると、設備投資は、直近3カ月は横ばいであるが、コロナ禍以降もほとんど減少せず、年率8%といった比較的高い伸びで推移してきた。つまり設備投資は、コロナ禍の影響を受けず順調に増加したといえる。

 この背景には、コロナ禍の下でも好調であった半導体産業が旺盛に設備投資を行ったことなどがある。韓国経済はコロナ禍の悪影響を受けて落ち込んだが、落ち込みの程度は他の先進国と比較して軽微であった。これは設備投資がコロナ禍の下でも順調であったからであり、設備投資は景気を下支えした立役者であった。

(文=高安雄一/大東文化大学教授)

●高安雄一

大東文化大学経済学部教授。1966年広島県生まれ。1990年一橋大学商学部卒、2010年九州大学経済学府博士後期課程単位修得満期退学。博士(経済学)。1990年経済企画庁(現内閣府)に入庁。調査局、人事院長期在外研究員(ケルン大学)、在大韓民国日本国大使館一等書記官、国民生活局総務課調査室長、筑波大学システム情報工学研究科准教授などを経て、2013年より現職。著書に『やってみよう景気判断』『隣の国の真実 韓国・北朝鮮篇』など。

情報提供はこちら
RANKING
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合