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野村直之「AIなんか怖くない!」

真のDX推進を実現する正しいAI導入のコツ…人間は人間にしかできない仕事をして利益を最大化

文=野村直之/AI開発・研究者、メタデータ株式会社社長、東京大学大学院医学系研究科研究員
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 しかし、高専ロボコンなどで試作、提案された「尺取り虫型ロボット」にカメラを取り付け、画像認識・分類AIで判定させれば、コストは下がり、人間は危険から解放されます。

 首都高の路面の劣化のチェックは、検査車両を走行させながら、車底に取り付けたカメラがAIで認識することで、一時通行止めにすることもなくなり、従来より数十倍のスピード、生産性で実施できるようになったといいます。

 大勢の入場者の顔を事前登録者と照合するなど、人間が辛い不毛な仕事をしていたのを肩代わりすることで、人件費節減、対応容量アップ、精度向上というあたりも、認識系AIの面目躍如とはいえるでしょう。ただ、この種の応用でも、従来は経済的(コスト)、時間的制約(処理速度)、判定の均質さ(公平さ)、精度の観点で不可能だった応用を考えるのが成功への近道でしょう。たとえば、スマホ決済ならぬ「顔決済」です。

日本語などの自然言語の解析、分析もできそうでできていなかった

 自由に記述された大量の文章のネガポジ(肯定・否定)の傾向を判断したり、たとえば100万件の記事から、十数秒で自分にとって重要な数十カ所を抽出して読めるようにしたりしてくれる、なども、人間の秘書などには絶対にできないことです。たとえ1000人を投入しても、完全に同一の基準で判定するなどは不可能です。

 私が経営するメタデータ社では8月17日、性格診断API、メンタル分析支援ツールについてプレスリリースを行いました。これらは、テキストビッグデータを文脈処理し感情解析、人柄・性格タイプやメンタルヘルスの状態を判定するものです。

 大企業では、顧客のアンケートの自由回答をすでに数千万件蓄積していたり、従業員の日報、週報、月報を数百万件蓄積したりしているところがあります。ところが、これらは多くの場合に宝の持ち腐れとなっていました。上司に「来週までに過去の全件を集計し、そこから新商品のアイディアを抽出しておけ」と言われて100万件のアンケートの自由回答を渡されても、100人がかりで不十分ながらできるかもしれない、という程度でしょう。

 90万件目にユニークな提案を見つけて、「あれ? これと似たのが、10万件目あたりに2件、20万件目あたりに7件あった気がするけど……」など分業していては、思い出すのは無理。AIが秒単位で、似たような意味の記述を見つけてくれる類似検索機能を使わない手はありません。

真のDX推進を実現する正しいAI導入のコツ…人間は人間にしかできない仕事をして利益を最大化の画像2

 上の画面例は、高級一眼レフデジタルカメラについてのクチコミに対して、自分が注目した記事から関心箇所をコピペして、それとの類似度をデータベース中の全件とAIに比較させたものです。何万件あろうと、あっという間に類似度の順にランキングしてくれます。横倒しの鶯色の棒グラフが類似度を視覚的に表します。特に強い類似の手掛かりとなった上位数十単語には色付けしてくれるので、同じくらいの類似度でも、その根拠が全然違うのが一瞬で見て取れます。

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