鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

私が「頑張らずに」老後、毎月70万円の収入を実現した方法…アパート経営、個人輸入

コケッコッコ太郎さんのアパート

 見るからに温厚そうで穏やかな口調で話すコケコッコ太郎さんは、ある地方に住む53歳の個人事業主です。金融知識ゼロから「頑張らない」「簡単」「手間いらず」「株もFXも保有なし」で資産を増やし、65歳でセミリタイアを果たしたら、毎月70万円以上の収入が入る生活が待ち受けています。

 個人事業主といっても同年代の会社員を少し上回る程度の年収のコケコッコ太郎さんの年金受給見込額は約20万円ですから、どんな錬金術をしてきたのでしょうか。今回は、コケコッコ太郎さんに解説していただきましょう。

社内預金をする

 面倒なことが嫌いな私は、社会人になった時に唯一していた貯金が、当時の勤務先の社内預金です。当時の利率も毎月の貯金額も忘れてしまいましたが、給与天引きという手軽さから始め、4年後に退職する際には約350万円が貯まっていて驚きました。今は、社内預金制度のない企業も多いですが、あるなら利用すべきです。

 現在でも厚生労働省令で下限利率が0.5%と国で決められています。今、大手都市銀行の3年スーパー定期なら300万円未満を預けた場合の金利は0.001~0.002%です。社内預金は大手銀行と比較すると最低でも250倍から500倍の金利となります。必要だったら引き出せますから、もし勤務先に社内預金制度があれば、絶対に利用すべきだと思います。

不労所得を得る

 個人事業主なので、病気で働けなくなった場合のリスクは常に考えていましたが、具体的な対策までは考えていませんでした。転機は自宅を売却した10年前に訪れました。開発ブームに乗じ、売却利益が1000万円以上出たことがきっかけで1階はテナントにしたワンルーム4世帯、2LDK2部屋のアパート経営を始めたのです。

 家賃収入には当初、サブリース契約を利用していました。サブリースとは、不動産会社などに1棟丸ごと貸して、サブリース先から家賃を得るものです。サブリースがあったからこそ大家業という英断をしたものの、あろうことか半年でサブリース会社が白旗を上げたのです。1階のテナントが半年経過しても入居者が見つからなかったのが理由でした。

 駅から2分程度の場所ですので、飲食にも対応できる建築なら違っていたんでしょうが、予算的に断念しました。結局、1階は1年間借り手がなく、本当に苦しい思いをしました。飲食向けにしていたら借り手もすぐに見つかったかもしれないと後悔した時期もありましたが、最初から収益が出るようにローンを借りていたので、今では利回り13%で回っています。

 その後1階に入居したのは堅実な企業様で、いまだに借り続けていただいています。65歳になればローンも完済でき、修繕積み立て金を除いても、毎月約40万円は入ってくることになります。アパートを建築するときに、サラリーマン大家をテーマにした本や資料を片っ端から読み漁り、ヒントをたくさんいただきました。大家になってから、新たな大家仲間もできました。

 利回り20%の高収益をあげている人もいますが、不労所得ははたから見れば良さそうに見えるでしょうが、収益をあげている大家さんは、間違いなく相当な努力をされています。私は、ぼちぼち堅実にやっていければいいと思っています。

 アパートは自宅から3分ぐらいの距離にあるので、毎週チェックに行っています。管理会社に入っていただいていますが、草なんて夏場はあっという間に生えます。ゴミの不法投棄は実際ありますので、私が処理しています。驚いたのはゴミ箱に生まれたばかりの猫が捨てられていたことです。保健所に連絡しましたが、やりきれません。

 高い技術を持つ建築関係の方のお陰で、築10年でも、まったく故障もクレームもありません。いまだに「外観も素敵ですね」と言っていただいています。周囲に比べて良心的な家賃だからか、家賃を下げないと入居者が見つからないという経験はありません。建築にあたっても、異業種交流会で知り合った方々に大いに助けていただきました。人の縁の大切さを痛感しています。

商材を持つ

 私が独立した時、世間は商品さえ良ければ売れる時代でしたが、現在はそうはいきません。そこで、複数の商材を持つことを考えつきました。

 商材には2つあると思います。一つは情報、もう一つは商品です。ただ、私の場合、どちらも自分で直接扱うものではありません。情報というのは、異業種で知り合った弁護士や税理士などから得た専門家ならではの智恵や情報です。お客様に伝えることで、お客様はリスク防止につながったり、無用な時間や出費を抑えたりできることになります。あるいは、お客様から法律や税務などに関する専門家の紹介を依頼された時に、紹介はしますが、紹介料はいただいていません。

 カッコをつけているわけではないですが、お客様の暮らしを、今以上に豊かになるお手伝いをしたいからです。そう思って始めましたが、実際は逆でした。お客様が私にものすごく感謝してくださり、こちらのほうが驚いたぐらいです。

 商品というのは、御用聞きですね。例えば『おいしいお店を知りませんか?』とよく聞かれることがあります。時には、企業から発売している商品をお客様に紹介してほしいと頼まれることもあります。こうしたいろんな業種のネットワークや商品を持つことが、『私という商材』を増やすことになります。私に聞けば解決方法や色んな商品の情報を知っているというのがお客様に浸透して、本業の仕事の話を真剣に聞いていただけるので、やりやすくなりました。

 企業様のなかには、商品を紹介してお客様が購入されたら企業の規定で紹介手数料をいただけるところがあります。こうした商材先は10社ぐらいありますが、合計手数料は平均して毎月4~5万円程度です。これで大きく儲けるというより、いろいろと情報をもらえるのがありがたいですね。

個人輸入を手掛ける

 海外の商品を個人輸入して、ネットで販売することを1年前からやり始めました。派遣の仕事も考えましたが、時間の拘束を考えて、個人輸入にしました。毎月1回、3万円ほどの商品を輸入して、毎晩1時間ぐらいチェックする程度です。まめにチェックすれば、売り上げは月に8万円ぐらいになりますが、チェックをしないと5万円程度になってしまいます。自慢というほどではありませんが、一切クレームはありません。

 もちろん、ただ始めれば収益が出るようなものではありません。やっぱりどんなことを手掛けるにしても、研究もせずにするのは無謀です。研究をきちんとした上で、副業を始めるには、個人輸入は手軽でいいと思います。あくまでも私の経験ですが、年収100万円ぐらいのアップは、そう無理なく期待できると思います。

保険を活用する

 個人事業主になってから始めた“貯金”が生命保険です。株やFXもかじってみたものの、1日に何度かチェックしたくなるので性格的に合わない。一方、保険は預けっぱなしでも当時の予定利率は6%、銀行に預けるよりはるかに利回りが高かったことが理由でした。

 生命保険は、最低でも10年以上の長期運用に向いています。始めた当初は金融知識も素人に毛が生えた程度でしたが、長期で預けるという目的は明確にありました。長期運用の目的は老後資金でした。昔は100万円とか300万円とか、手元のお金が、ある程度まとまったお金になったら一時払いの保険に加入していました。

 かつては外貨建て保険に加入した時期もありましたが、現在では外貨建て保険よりは変額保険です。理由は変額のほうが、利回りが高いからです。外貨建て保険は債権運用が中心ですので利回りが低すぎます。加えて為替リスクがありますから、リスクに見合うリターンが期待できません。変額保険であれば世界株での運用が可能なので、年平均二桁の利回りで回せます。

 ただ、保険は解約控除がかかるので、早期解約したら解約返戻金は払い込んだ保険料を下回って損をします。あくまで長期保有が前提となります。早期解約したら元本割れするということは、逆にいうと「今やめたら損だから続けよう」という抑止力になり、結果的に貯まっていたということになります。銀行預金だと今の金利ではいつやめても損はないですから、途中で挫折する可能性が高まりますよね。

 NISAやiDeCoなどさまざまな長期運用商品があるので、それぞれの特徴と時間軸を考えて活用することが大切だと思います。

平凡な暮らしを追求する

 個人事業主になってからアパートを購入しようとしたとき、どこの金融機関も門前払いでした。私に対する社会的信用を突きつけられたことが、複数の収入を持とうと思うきっかけでした。これからの時代、副業が許されるなら、会社員でも収入の柱は何本もあったほうがいいと思っています。

 私は興味があることは、一度はチャレンジするようにしています。やってみないとわからないことも多いので、実際にやっている人の話は必ず聞きます。「儲かる」ということばかりを強調する人もいますが、デメリットやリスクは絶対に聞きますし、多面的に考えたいので、複数の人から話を聞くようにしています。本やネットで情報を収集するのは基本です。

 一番大切なのは、自分がどうなりたいかですよね。私は高級車もブランド品も持っていません。平凡でも毎日充実していたいし、健康が一番だと思っています。生活費は昔も今も月20万円でやってきたので、余剰資金を80歳以降の暮らしに充てるために貯金をしてきましたが、65歳以降も変わりません。ガツガツ儲けたいという方には、私の話など参考にならないと思います。

 複数の収入を持とうと思った時、どんな商材があればお客様に喜んでいただけるのかと考えたことが、今日に至っています。小商いばかりですが、手間のかからないことばかりなので、80歳ぐらいまでは続けていきたいと思います。今後もお客様の顔を思い浮かべながら、商材を増やしていきたいと思います。すべての答えはお客様にあり、ですね。

(文=鬼塚眞子/一般社団法人日本保険ジャーナリスト協会代表、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表)

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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