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工藤会トップに死刑判決は「永山基準」に照らしても厳しすぎる…宮崎学が斬る“国策捜査”

構成=編集部
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 また、警察庁が「福岡県警は『暴力団』を取り締まれない」と見限ったこともあると思います。福岡県内には5団体もの指定暴力団組織があります。東京都内は4団体、大阪は2団体ですから、どれだけ多いかわかります。福岡県警は、それらを放置するどころか、癒着していたのではないでしょうか?

 今回の裁判で審理された元警察官の銃撃事件も、当初はむしろ被害者と工藤會の「ただならぬ関係」が指摘されていたほどです。ただし、これはどこの警察にもあることです。2012年には、工藤會のほか別の福岡県内の組織からもカネを受け取っていた疑惑のある警察官が逮捕されていますし、2020年3月には、警視庁のマル暴警部補とヤクザの関係を「FRIDAY」(講談社)が報じています。

 また、今年の9月10日には、暴力団員に捜査情報を漏らしていたとして、神奈川県警察本部が警部補を懲戒免職の処分にしたことも明らかになっています。報道によると、この神奈川県警の元警部補は「暴力団関係者を協力者にしたかった」と話しており、地方公務員法違反の疑いで捜査されているようですが、このほか都内のクラブで総額数十万円の接待を受けており、贈賄の疑いもあるようです。情報を漏洩したヤクザとは「先輩の元警察官からの紹介で知り合った」と認めているそうで、明らかに組織的な問題です。この元警部補の名前はなぜか報道されていませんが、だいたいどの警察も同様と考えていいでしょう。

 また、背景にはアメリカ政府の圧力もありますね。一貫してマフィア撲滅に力を入れてきたアメリカ政府は、工藤會や山口組など日本のヤクザへの制裁も続けています。もっとも、アメリカの狙いはマフィアの潤沢な資金の没収ですが、これに対して日本は1992年の暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)の施行以来、30年近くを経ても暴力団を壊滅させていません。アメリカからすれば、「どうなっているんだ?」ということでしょう。

 とはいえ、欧米もマフィアの対策は講じながら殲滅できてはいないのですが、日本はアメリカの要請に応えなくてはならず、工藤會のような「山口組より規模は小さくても存在感のある組織」をターゲットにしたのだと思います。

「永山基準」に照らしても死刑は厳しすぎる

――審理された4つの事件のうち、元漁協組合長の事件は以前に裁判が終わっていますが、改めての捜査となりました。

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