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高井尚之が読み解く“人気商品”の舞台裏

午後ティー、発売35年でも売上ダントツの理由…多彩な訴求、社会課題の解決まで

文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント
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レギュラー3品は鉄板、もっとも売れるのは「ミルクティー」

 消費者から“午後ティー”と呼ばれて親しまれるブランドは、現在さまざまな種類と容器サイズで提供する。定番3品が「ミルクティー」「レモンティー」「ストレートティー」だ(正式商品名は「キリン 午後の紅茶 ミルクティー」等となる)。もっとも売れるのが「ミルクティー」だ。これは後述する消費者心理を考えると興味深い。

「35年で商品ラインナップ、容器サイズは拡大し、ホット飲料も投入しましたが、『茶葉から淹れた紅茶のおいしさ』と『紅茶の飲用シーンを拡げる』を大切にしています」(安平氏)

 マーケティング現場では「消費者はどんどん変化」するが、「人間の本質はそんなに変わらない」も共通認識だ。「不易流行」(時代とともに変わる・変わらない)の考え方だ。

「ブランド35年の歴史で、変えてきたもの=パッケージデザイン・味覚・容器形態で、変えないもの=ブランドアセット・おいしさへのこだわり、になります」(同)

 パッケージデザインは変えてきたが、ブランドロゴも大きく変わらない。

「発売時から『アンナ・マリア』(7代目ベッドフォード公爵夫人。アフタヌーン・ティーの習慣を始めた存在)と明朝体の文字表記を採用しています」(同)

 フレーバー(味覚)も多様化し、今年は「午後の紅茶 熊本県産いちごティー」という商品も発売。同県産のいちご「ゆうべに」を用いたフルーツティーだ。

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今年発売された「午後の紅茶 熊本県産いちごティー」(写真提供:キリンビバレッジ)

発売時は1.5リットル、「ごくごく飲む」の先駆者だった

 1986年の発売時は1.5リットルのペットボトル「ストレートティー」からスタートした。

「当時、缶入りの紅茶はありましたが、甘さが強く売れ行きはいまひとつ。一方、家庭で飲む紅茶は茶葉やティーバッグで淹れるホットティーが大半。自分でアイスティーをつくろうとすると、非常に面倒でした。

 そこで『RTD(Ready To Drink=缶やペットボトルに入ったすぐ飲める飲料)で、紅茶本来の味わいが楽しめるアイスティーをつくれないか』という、開発担当者の熱い思いから商品開発がスタートしたのです」(安平氏)

 試行錯誤の末に開発されたのが、液色を透明にする「クリアアイスティー製法」。紅茶には「冷やせば濁る」という性質があり、それを解決するブレイクスルーとなった技術だ。

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