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一方、例えばアニメキャラの場合は、どのくらい感情移入できるかにもよると思うのですが、自分がそのキャラと触れ合っているところをリアルに想像できる人であれば、女優の食事シーンと同じような気分を感じられるかもしれませんね」(岡本氏)
食事動画を楽しむためのカギは共感力と想像力
YouTubeには他にも人気コンテンツとして、大量の食べ物を食べる“大食い動画”や、YouTuberがカメラに向かって話しかけながら食事をする“一緒に食べよう動画”などがある。これらが再生される理由は女優の食事動画とはまた違うのだろうか。
「“大食い動画”は、どれくらい食べるんだろう? という期待感やワクワク感を抱くので、確かに快楽物質であるドーパミンは出るかもしれませんが、“絆ホルモン”で安らぎを感じるという人はあまりいないはず。
一方の“一緒に食べよう動画”は、“絆ホルモン”が分泌される可能性は高そうですね。視聴者が動画のなかの人物と同じ料理を用意して食べれば、なおさら“絆ホルモン”が出るでしょう」(岡本氏)
岡本氏は、女優の食事動画や“大食い動画”“一緒に食べよう動画”などの食事系動画を楽しむには、共感力と想像力が大きなカギとなると見解を示す。
「ドーパミンは具体的にイメージをするとより強く出るものです。ダイエットにたとえると、漠然と痩せようと思うよりも、1カ月後までに何キロ痩せてこんな服を着ようとか、具体的に痩せた自分がどうしているかというイメージを持つほうが、ドーパミンが多く出てやる気もアップするものなんですね。
動画を見ている場合もこれと同じです。視覚から得た情報に共感し、いかに自分ごととして具体的に想像できるかによって、ドーパミンの放出量は変わってきます。ですから、これらの動画をより楽しむためには、共感力と想像力が重要になってくるでしょう」(岡本氏)
なるほど、基本的に一般人が食事をしている動画で女優のそれと同じ効果が得られないのは、初めて見た知らない人に共感し、感情移入するのが難しいからなのかもしれない。
芸能プロダクション・グレープカンパニーの公式YouTubeチャンネルからアップされている、サンドウィッチマンの伊達みきおがただ天丼を食べている動画が、160万回以上再生されていることからも、感情移入しやすい、知っている人物の食事動画が親しまれやすいことが伺える。
精神医学や心理学の知識を応用すれば、視聴者を本能的に虜にする動画コンテンツをたくさん作り出せるということなのかもしれない。
(文・取材=福永全体/A4studio)