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永濱利廣「“バイアスを排除した”経済の見方」

「アベノミクスで格差拡大」という誤った認識が流布した理由…ジニ係数の読み方

文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

需要不足の解消が最優先課題

 このように、当初所得ジニ係数が実際の格差を示さない背景には、日本では手厚い社会保障制度により再分配機能が大きく作用していることがある。このため、こうした所得格差の実態を表さない経済指標を基に安易に所得格差が拡大していると判断すると、経済政策の判断を誤る可能性があり、多くの国民が経済成長の恩恵を受けられなくなる可能性がある。特にコロナショック以降、デフレギャップが大きく残存する現局面では、総需要を持続的に増加させ、一刻も早く経済の正常化に結び付ける政策が優先されるべきだ。

 具体的な処方箋としては、まずは人々が安心して外出したり消費したりできるように、欧米のようにコロナ禍でも行動制限せずに済む医療提供体制の拡充・構築が必要だろう。また、お金を使った家計や人件費を増やした企業が得をする優遇策や支援策も検討すべきだろう。そのためには、経済全体で見た需要不足が完全に解消されるまで財政健全化を棚上げすることも必要になってくるだろう。

(文=永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト)

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●永濱利廣/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト

1995年早稲田大学理工学部工業経営学科卒。2005年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1995年第一生命保険入社。98年日本経済研究センター出向。2000年4月第一生命経済研究所経済調査部。16年4月より現職。総務省消費統計研究会委員、景気循環学会理事、跡見学園女子大学非常勤講師、国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、あしぎん総合研究所客員研究員、あしかが輝き大使、佐野ふるさと特使、NPO法人ふるさとテレビ顧問。

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