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川崎汽船、潮流発電に参入、原発並み電力に期待…「モノ運搬」から大胆な事業転換

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 ただし、2050年までの時間軸で考えると、脱炭素は川崎汽船のビジネスチャンス拡大になり得る。具体的には、競合他社に先駆けた船舶の脱炭素化の実現や、再生可能エネルギー関連の事業育成などがあげられる。包括的に考えると、川崎汽船をはじめ日本企業はいち早く脱炭素に関する取り組みを強化し、目先のコスト増加への対応力と、中長期的なビジネスチャンス獲得を目指すべき局面を迎えている。

ビジネスチャンス拡大を目指す川崎汽船

 川崎汽船が潮流発電に進出したのは脱炭素という世界経済の環境変化に対応し、新しい収益源を手に入れるためだ。そのために同社は既存の事業=海運事業から得られた資金を成長期待の高い新しい分野に再配分しようとしている。

 潮流発電とは、潮の満ち引きなど海水の流れを用いて大型のスクリューのような羽根(プロペラ)や水車を回転させることによって電気を生み出す方法だ。川崎汽船が中部電力とアイルランド企業と提携して進めるカナダでの潮流発電事業では、海底にプロペラを搭載した発電装置を設置し、最大約16mの干満差がもたらす潮流のエネルギーによってプロペラを回転させて発電を行うことが目指されている。風力発電や太陽光発電に比べて、潮流は気候に左右されづらく、発電量が予測しやすいといわれている。

 日本の潮流を活かすことによって原子力発電所2~3基が生み出す電力をカバーできると指摘する海洋技術の専門家もいる。また、潮の満ち引きに加えて、黒潮などの海流を用いた発電(海流発電)の可能性にも注目が集まっている。特に、日本のように四方を海に囲まれている国にとって、海流を用いた発電は再生可能エネルギーの利用を増やすために重要だ。

 見方を変えれば、世界的な脱炭素への取り組みが加速するに伴って、新しいビジネスチャンスが生まれている。その多くは、多くの企業にとって新しい分野であることが多い。例えば、川崎汽船の本業は海運=船舶を用いた物流サービスの提供だ。潮流発電に関するビジネスは同社にとって新しい分野だ。同じことは、火力発電などをメインの事業としてきた電力会社にも当てはまる。

 重要なことは、企業がアライアンスを組んで船舶の運航に関する技術やノウハウ、電力に関する知見など各企業の専門性を結合することがリスクの分散と、中長期的な成長が期待される分野への生産要素の再配分を支えることだ。その点において、川崎汽船がどのように中部電力などとの協業を重ね、潮流事業の収益化を目指すかが注目される。

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