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湯之上隆「電機・半導体業界こぼれ話」

総投資額50兆円超、韓国「K半導体ベルト」構想の衝撃…日本、輸出規制厳格化が逆効果

文=湯之上隆/微細加工研究所所長
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「K半導体ベルト」構想の各拠点の役割

 図1を基に、「K半導体ベルト」の各拠点で何を担うかを以下で説明する。なお、図1の赤丸は新設する拠点であり、青丸は拡張・拡大する拠点である。まず、ソウル近郊の京畿道の板橋にファブレス拠点「韓国ファブレスバレー」を設置する。次に、素材、部品、製造装置の拠点として、龍仁と華城が新設され、ここに天安も加わる見込みである。龍仁にはSKハイニックスの半導体クラスターが形成され、50以上の素材・部品・装置の企業がこの拠点に参加するという(「韓国のイマをつたえる もっと!コリア」、2021年5月13日)

 さらに、チップを3次元に積層することによって、今後、ムーアの法則を牽引することが期待されている後工程/パッケージの拠点として、槐山、温陽、天安が挙げられている。そして、「K半導体ベルト」の中心的存在になるのは、やはり、世界半導体売上高2位のサムスン電子と同3位のSKハイニックスである。この2社合計で、2030年までに約47兆円の投資を行う模様だ。韓国合計では50兆円超になる見込みである。

Vision2030を掲げているサムスン電子

 サムスン電子は2019年に「Vision2030」を掲げ、2030年までに130兆ウオン(12.4兆円)を投資して、ファンドリー分野でTSMCに追いつき、追い越す目標を掲げた(図2)。その際、半導体技術者として、大学院の修士卒と博士卒の合計1万5000人を確保するとした。

総投資額50兆円超、韓国「K半導体ベルト」構想の衝撃…日本、輸出規制厳格化が逆効果の画像3

 そして、5月13日の報告会に参加したサムスン電子の金奇南・副会長は、「2030年までに計画していたシステム半導体投資133兆ウォンを171兆ウォン(約16.5兆円)に拡大する」とし、「サムスン電子の平均メモリ設備投資額(20兆ウォン)を加えると、今後の10年間でサムスン電子は371兆ウォン(約35兆円)を超える投資を行う」と述べたという(前出「もっと!コリア」より)。

ファンドリーに参入するSKハイニックス

 SKハイニックスもこれに負けない投資を行う。同じく5月13日の報告会に参加した朴正浩代表取締役(副会長)は、「SKハイニックスは利川と清州工場に2030年までに110兆ウォン(約10兆円)を投資し、これとは別途に2025年に完成する龍仁クラスターに120兆ウォン(11.3兆円)を投資する。総額230兆ウォン(21.7兆円)を投資するつもり」だと語ったという(前出「もっと!コリア」より)。

 ところが驚くことに、龍仁に投資する120兆ウォン(11.3兆円)で、SKハイニックスはファンドリー工場を建設する模様である(「Mapionニュース」、4月1日)。記事によれば、韓国政府の認可を受けたSKハイニックスは、2021年第4四半期に工場建設に着工し、2025年はじめにファブの1棟目が竣工する予定である。そして最終的には4つのファブが建設され、その生産能力は合計で月産80万枚(12インチ)を計画しているという。

 現在、ファンドリー分野で過半のシェアを占めるTSMCが月産約130万枚、第2位のサムスン電子が約20万枚であることを考えると、SKハイニックスの計画する月産80万枚というのはトンデモナイ規模であると思う。

韓国政府の支援策

 このように、今後10年間でサムスン電子が約371兆ウォン(約35兆円)、SKハイニックスが約230兆ウォン(21.7兆円)、2社合計で約500兆ウォン(約47兆円)の投資を行うことを表明している。この2社以外も加えると韓国全体で50兆円超になる見込みである。そして、このような巨額投資に対して、韓国政府は以下の支援を行う(JETRO、ビジネス短信、5月19日)。

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