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キオクシアと米WD、経営統合を経産省が容認か…世界シェア1位・サムスンに匹敵

文=編集部
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 半導体は今、国際政治のホットなテーマである。今年春、ワシントンで菅義偉首相(当時)とバイデン大統領の日米首脳会談が開かれた。主要なテーマの一つが半導体だった。バイデン政権は日米欧で最先端半導体を共同開発する「多国間基金」の創設を提案。バイデン大統領は記者会見で「サプライチェーンで日米の協力関係を拡大する」と宣言した。

 米政権が日本に半導体分野での連携を求めるのは、ハイテク分野で世界市場を席巻する中国に対抗するためだ。米半導体の多くは工場を持たないファブレス企業だ。米国の世界生産シェアは1990年の37%から20年に12%にまで低下。半導体供給網に関して中国リスクが、一段と高まってきた。

 このためバイデン政権は半導体生産を支援する法案を検討している。補助金などで500億ドル(約5兆5000億円)の巨費を投じる計画と伝えられた。先端半導体の米国での現地生産に資金を投じ、メモリーのような汎用半導体は日本や韓国など同盟国からの調達を増やす。

 日米首脳会談と時を同じくして、WDとキオクシアの経営統合案の検討が進んだという見方もある。今春、WDのデイビッド・ゲクラーCEOは日本を訪れ、「キオクシアを買収したい」と直接、申し入れた。WDはキオクシアと統合できればシェア首位の韓国サムスン電子に匹敵する勢力となる。

 一方、キオクシア株の売却で得た資金を株主に還元して「物言う株主」を黙らせたい東芝の首脳陣やキオクシアの大株主の米投資ファンド、ベインキャピタルは、上場することによって現金を手にすることができる。IPO志向が強く、ゲクラーCEOの要請はいったん頓挫したかに見えた。

 だが、日米首脳会談で流れが変わった。

「WDとキオクシアの経営統合を、バイデン体制で加速する日米半導体連携の第一歩と位置づけるという考え方が台頭した。国内企業の保護を錦の御旗に掲げる経産省がキオクシアとWDの統合を事実上容認したのは、日米首脳の暗黙の了解を忖度したからだろう」(国内半導体業界の首脳)

 あくまで上場を目指すのか。キオクシアと親会社、東芝の判断は一企業の損得のレベルを突き抜けたといっても過言ではない。東芝、ベインキャピタルが求めるIPOか。それとも政府=経産省が日米連携と位置づけているWDとの統合か。東芝とキオクシアの取締役会は、早期に結論を出せるのか。

(文=編集部)

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