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新幹線の台車に亀裂も…川崎重工の危機、地下鉄車両で不具合多発、米当局が調査開始

文=編集部
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 新幹線の安全神話を大きく揺るがしたわけで、車両メーカーとして致命的だ。当然の帰結だが、川重の鉄道車両事業は低迷。20年6月、金花社長は会長に退き、橋本康彦取締役常務執行役員が社長に昇格した。橋本氏は精密機械・ロボット部門から初のトップ就任となった。

鉄道車両を分社し、水素事業を強化

 橋本社長は体制の再構築に動く。20年11月、31年3月期を最終年度とする新たな事業方針を発表した。新型コロナウイルス禍が長引き、主力の航空機関連事業が不振で、背水の陣を敷くこととなった。水素やロボットなど新規事業を拡大する一方、21年10月、二輪車や鉄道車両などを分社化した。

 コロナ禍となる前から収益増に向けた新しい体制づくりが遅れていた。車両事業は新幹線台車の不具合や米国向け車両の納期遅れなどで、18年度までに2期連続で100億円超の損失を計上している。他部門とのシナジー効果が薄い二輪車と車両事業を分社した。

 水素事業や手術ロボットなどのロボット事業を成長分野として掲げる。水素事業は、これまでは液化水素運搬船の実証設備しかなかった売上を31年3月期に1200億円へ引き上げるとしていたが、21年6月になって水素事業の売上高目標を2.5倍の3000億円規模へと上方修正した。

 新たな経営の数値目標として、「31年3月期の売上高は2兆5000億円(21年同期1兆4884億円)、売上高営業利益率8%(21年3月期は530億円の営業赤字)」とした。

水素航空機の開発に着手

 2020年10月、日本政府は50年までにカーボンニュートラル(温暖化ガス排出実質ゼロ)を目指すと宣言した。これを実現するためには、火力発電所や産業活動などに伴う二酸化炭素(CO2)を大幅に減らす必要がある。火力発電所の排出削減には水素への燃料転換がカギを握る。

 川重は19年12月、液化水素運搬船「すいそ ふろんてぃあ」を建造、オーストラリアで製造した水素を日本へ輸送する実証試験を始めた。同月、水素をエンジン燃料とした航空機の研究開発を始めると発表した。欧州大手エアバスが35年までに水素燃料航空機を市場に投入すると表明しており、急速に関心が高まる脱炭素への対応として水素燃料が有力視されている。川重は水素関連のノウハウを生かし、31年3月期までにエンジン燃焼器や燃料タンクなどを開発。地上での実証実験を計画している。

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