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木村隆志「現代放送のミカタ」

「吉高由里子の演技が上手いから」ではない…『最愛』からにじみ出る本物の凄み

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
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「金曜ドラマ『最愛』|TBSテレビ」より
金曜ドラマ『最愛』|TBSテレビ」より

 近年、これほど視聴率の無意味さを教えてくれる作品はあっただろうか。中盤の第6話を終えた今も、ドラマ『最愛』(TBS系)に対する称賛の声が増え続けている。

 視聴率では世帯・個人ともに平凡な結果に終わっている半面、録画視聴では同じTBSの『日本沈没―希望のひと―』とデッドヒートを繰り広げているほか、配信数でも今秋どころか「TBSドラマ歴代1位」を記録。つまり、熱心に見るドラマほど、「録画でじっくり見る」「配信で繰り返し見る」ということなのだろう。

 さらにネット上には、「今クールで一番の名作」「こんなにクオリティ高く素晴らしい作品なので、視聴率は関係ない」「吉高由里子の演技が上手すぎる」「大輝もいいけど加瀬さんも素敵」「指折り金曜日を待つ日々です」「一週間の長いこと……」などの称賛の声が大半を占めている。

「秀作ぞろい」と例年以上に評判の今秋ドラマでも、最大の支持を得ていることは間違いない。ただ、これら称賛の声には多少の“誤解”や“補足説明”が必要なところもある。

常にアベレージの高い演技をキープ

 まず「吉高由里子の演技が上手い」というコメントをよく目にするが、これはやや違うかもしれない。もともと吉高は業界内で、「常に主演として及第点のアベレージを出せるタイプの女優」と評価されている。彼女は朝ドラ『花子とアン』(NHK)の主演を務めたあと約3年間にわたってドラマ出演を控えていたが、2017年の『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)以降、ほぼ1年に1作ペースで出演を重ねてきた。

 注目すべきは、各作品が放送されたタイミング。『正義のセ』(日本テレビ系)は、脚本・坂元裕二×主演・広瀬すずの『anone』と、脚本・野島伸司×主演・石原さとみの『高嶺の花』の間。業界トップ級の脚本家による強烈なオリジナル作に挟まれた難しいタイミングだった。

『わたし、定時で帰ります。』(TBS系)は、深田恭子主演『初めて恋をした日に読む話』と、石原さとみ主演『Heaven?~ご苦楽レストラン~』の間。ホリプロのエース女優と相手役のイケメンたちに挟まれ、「漫画原作が続く中で唯一の小説原作」という難しいオファーだった。

『知らなくていいコト』(日本テレビ系)は、同枠「水曜ドラマ」のヒットメーカー・遊川和彦が脚本を手がけた『同期のサクラ』と、ヒット作の続編『ハケンの品格』の間。『危険なビーナス』(TBS系)は、あの『半沢直樹』と、同枠「日曜劇場」のヒットメーカー・森下佳子が脚本を手がけた綾瀬はるか主演『天国と地獄 ~サイコな2人~』の間。

 吉高が「いかに難しいタイミングで主演を任され、安定した演技で乗り切ってきたか」がわかるのではないか。彼女には常に主演女優にふさわしいレベルを出せる安定感があり、今回の『最愛』でも同じようにその重責をまっとうしているのだ。

 ではなぜ視聴者は、いつも以上に吉高の演技が上手く見えるのか。それは彼女を支えるスタッフの素晴らしさにほかならない。

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