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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

年収の壁問題、注意すべきは税金より社会保険料?パート妻「働き損」を防ぐ基礎知識

文=黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー
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妻自身の税金と夫の税金に影響が出る

 本稿の目的は「いくらで働くのがトクか」をお伝えするものではないので、金額など詳細は省略するが、1円たりとも税金を払いたくないなら「100万円」以下(自治体によっては課税される場合もある)で働くことになる。その次は所得税がかかる「103万円」だ。

 同じく税金に密接に関係してくるのが、第5と第6の壁にある「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の2つの所得控除である。「配偶者控除」とは、納税者(夫)に所得税法上の控除対象配偶者(妻)がいる場合、一定額の所得控除が受けられるというもの。これが適用されれば夫の税金が安くなり、2020年分以降は、配偶者(妻)の所得が48万円以下なら満額38万円が適用される。

 所得とは、収入から必要経費等を差し引いたもの。つまり、給与から差し引ける経費(給与所得控除額)最低額55万円+基礎控除48万円=103万円までは、配偶者控除の適用が受けられるわけである。

 そして配偶者特別控除は、配偶者控除が受けられない場合の救済措置のようなもの。同じく最高38万円だが、一律ではなく、所得金額に応じてスライドするしくみだ。

 以前は103万円を超えると配偶者の所得に応じて控除額が減額されたが、2018年から150万円に引き上げられている。これによって、150万円までは「配偶者控除」と同じく、満額の控除が適用され、それを越えると所得金額に応じて控除額が減額。201万6,000円でゼロとなる。

税金よりも社会保険料の負担が大きな壁となる

 個人住民税はそれほどの額ではないし、所得税も応能負担の原則に即しているから、収入が少なければそれほど多いわけではない。税金よりも負担が大きく、注意すべきは、第3・第4の壁の社会保険料がかかるかどうかの境目だ。

 これまでは、「130万円」がその目安だったのだが、2016年10月から一定規模以上の企業に勤務している長期パート主婦は、「106万円」を超えると厚生年金と健康保険の加入しなければならなくなった。

 加入要件は以下の通りだが、2022年10月からは(2)の雇用期間の短縮と(5)企業規模の拡大が予定されている。企業規模は2年後もさらに変更になることからわかるように、「パートであっても、ある程度バリバリ働いているなら社会保険に加入してもらう」といった国の姿勢がひしひしと伝わってくる。

【短時間労働者に対する厚生年金保険等の適用要件】

(1)週の所定労働時間が20時間以上あること

(2)雇用期間が1年以上見込まれること(2022年10月以降、2か月に改正予定)

(3)賃金の月額が8.8万円以上であること

(4)学生でないこと

(5)被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること(2022年10月以降100人、2024年10月以降50人に改正予定)

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5:30更新
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