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誰も知らないアントニオ猪木の真実…根治困難な全身性の難病の正体、有効な薬も乏しく

文=編集部、協力=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長

蛋白質が臓器や組織に沈着

 この「全身性トランスサイレチンアミロイドーシス」とは、どのような病気なのか。血液内科医で元東京大学医科学研究所特任教授の特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長、上昌広氏は次のように解説する。

「全身性トランスサイレチンアミロイドーシスとは、トランスサイレチンという蛋白質が臓器や組織に沈着することにより引き起こされる疾患である。遺伝により病的なトランスサイレチンをつくり出すタイプと、なんらかの後天的な理由でトランスサイレチンの代謝に異常が生じ、体内に蓄積するタイプに分かれる。後者は70歳代以上の男性に多く、猪木氏は、このタイプと考えられる。

 臨床症状は、トランスサイレチンが蓄積する臓器の異常として現れる。問題になりやすいのは、心筋症と神経障害である。具体的には、心不全、両側手根管症候群、腰椎脊柱管狭窄症、および腱断裂などの形をとることが多い。

 治療薬としては、タファミジスメグルミン(商品名ビンダケル、ファイザー)が開発されている。この薬剤は、体内でトランスサイレチンを安定化させ、組織への沈着を抑制する。ファイザー社が行った第三相臨床試験では、プラセボと比較し、すべての原因による死亡を30%、心血管疾患関連の入院を32%低下させた。現在、全身性トランスサイレチンアミロイドーシスの治療として、有効性が証明されているのは、タファミジスメグルミンだけである。これ以外の治療は、心不全や神経障害への対症療法である。

 タファミジスメグルミンの開発は、この病気の治療開発で大きな一歩だが、現時点で根治にはほど遠い。いったん発症した場合の治癒は望めない。高齢者での発症が多いこともあり、心不全など重要臓器が冒された場合の予後は絶対的に不良である」

(文=編集部、協力=上昌広/血液内科医、医療ガバナンス研究所理事長)

 

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