NEW

大成建設の変貌、「再生エネ」企業へ脱皮…環境関連事業を矢継ぎ早に立ち上げ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
【この記事のキーワード】, ,

 逆に言えば、技術とコスト面で事業化が可能な再生可能エネルギーの利用手段を増やすことは、大成建設が新しい需要を生み出したり、再生可能エネルギーの利用を念頭に置いたインフラ改修や整備需要を取り込んだりするために欠かせない。大成建設にとって、建設以外の分野で新しい需要創出に取り組む重要性が日ましに高まっている。

地熱発電と洋上風力分野などでの具体的取り組み

 大成建設の具体的な取り組みの一つが、地熱発電だ。2000年代に入り、世界的に地熱の利用は増加した。国ごとにみると、米国、インドネシア、フィリピンなどで地熱発電能力が引き上げられている。トルコやケニアでも地熱発電が急速に増えている。脱炭素の加速によって、発電などのための地熱利用は増加するだろう。

 他方で、日本の地熱資源保有量は世界第3位といわれているが、利用は増えていない。その理由として、地熱がある地域が国立公園周辺に多く開発に規制がかけられていることや、温泉旅館業界からの協力取り付けといった課題がある。

 そうした状況下、大成建設は地熱で二酸化炭素を温め、それを用いてタービンを回して発電する技術の開発に取り組み、収益源を多角化しようとしている。具体的なポイントは2つ指摘できる。一つ目は、地下水を利用せず、二酸化炭素を発電の手段として循環的に利用する技術の確立だ。アジア新興国では地熱利用に関する技術力が十分ではない。二酸化炭素を用いた地熱発電技術の確立は、同社が脱炭素分野での需要をより効率的に取り込むために重要だ。

 もう一つが、地域産業の育成だ。欧州などでは、地熱を利用したリゾート施設が運営されている。また、コロナ禍によって都市から地方へ生活の拠点を移す人が増えた。大成建設が規制当局や地域との交渉を重ねて地熱利用により多くの理解と協力を取り付けることは、新しい収益源と地域産業の育成につながる可能性を秘める。

 大成建設は洋上風力発電事業にも取り組む。日本にとって、洋上風力発電は再生可能エネルギーの利用増加の切り札に位置づけられる。しかし、日本には、洋上風力発電に用いられる大型の風車を生産する企業がない。

 その状況下、大成建設は浮体式洋上風力発電に必要な部品開発への進出を表明した。中長期的な展開を考えると、大成建設が本格的な洋上風力発電システムの開発、それによって得られた電力の配送電、蓄電技術の開発に取り組む展開もあるだろう。大成建設は脱炭素を新事業育成のチャンスに生かそうとしている。

重要性高まる事業運営のスピード向上

 新しい事業の育成のために、大成建設は事業運営のスピードを引き上げなければならない。競合相手より先に新しい技術を生み出し、需要を獲得できるか否かが問われる。

RANKING

23:30更新
  • 企業・業界
  • ビジネス
  • 総合