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大成建設の変貌、「再生エネ」企業へ脱皮…環境関連事業を矢継ぎ早に立ち上げ

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 脱炭素やデジタル化など、大成建設を取り巻く事業環境の変化は一段と加速化する。たとえば、欧州委員会はLCAなどによって世界経済の脱炭素関連のルールを策定し、世界各国がEUの価値観に従う環境を整備しようとしている。国際ルールの策定をめぐる主要国間の覇権争いは激化する。石炭火力発電を重視する日本はそうした国際的な議論に乗り遅れ、企業の競争力は一段と低下する恐れが高まっている。

 その状況下、大成建設は実力を高めて、長期の存続力を磨かなければならない。建設や土木分野では、生産工程で二酸化炭素排出量の少ないコンクリートの利用や、建機の電動化、省人化の重要性が増す。

 既存、新規分野での新しい取り組みを強化して、収益源を多角化するためには、アライアンス結成や買収戦略の実施、強化の重要性が一段と高まる。その上で大成建設は各分野の専門家(プロ)を獲得し、組織の集中力と士気を高めなければならない。それが、迅速な技術面の課題克服や事業運営体制の強化に不可欠だ。反対に、新しい取り組みが他社に遅れると、大成建設が脱炭素の加速化などに対応することは難しくなるだろう。その場合、同社の組織全体に現状維持の心理が強く浸透し、事業構造の変革を進めることはかなり難しくなる恐れがある。

 見方を変えると、大成建設の事業変革は、日本経済がこれまでの発想を続けるか、改革を進めて新しい経済運営を目指すかの分水嶺を迎えたことを示唆する。1990年代初頭のバブル崩壊後、日本は公共事業関連の予算を積み増し、建設・土木分野などでの雇用の維持を重視した。その結果として、日本経済全体で在来分野からITや脱炭素など成長期待の高い先端分野への生産要素の再配分は難しくなった。

 大成建設は過去の発想から脱し、組織全体のダイナミズムを高めて新しいビジネスモデルを確立しようとしている。同社経営陣が世界経済の環境変化にしっかりと対応する組織を作り、どのようなペースで自己変革のギアを上げるかが見ものだ。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

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