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「加谷珪一の知っとくエコノミー論」

岸田政権の積み上げ型の大型経済政策、大した経済効果がないことが国民にバレ始めた

文=加谷珪一/経済評論家
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 このうちコロナ対策は財政支出が22.1兆円と最大規模であり、病床確保を目的とした交付金、事業者向け支援金、住民税非課税世帯に対する10万円の給付金などで構成される。この項目はコロナ対策として必要性の高い施策が多く並んでいるが、逆にいえば、景気浮揚効果はそれほど大きくない。政府が、景気対策よりもコロナ対策を重視していると明確に説明した上での予算であれば、少なくとも一貫性は担保される。賛否は分かれるかしれないが、輪郭がぼやけた予算という批判は出なかった可能性が高い。

 ところが、(1)以外の予算項目は基本的に景気対策を主眼としたものとなっており、比率からすればむしろ景気対策を重視したようにも見える。だが、各項目を詳細に分析すると、そうとも言えなくなってくる。

 経済再開への備えについては9.2兆円が確保されているが、このうち6.8兆円は予備費である。主要項目は1兆円のGoToトラベルのみとなっており、経済再開に向けた本格的な予算項目とはいいがたい。さらに方向性が不明瞭となっているのが(3)の新しい資本主義関連の支出である。

 全体では19.8兆円とコロナ対策に匹敵する規模となっており、この中には看護師・介護士らの賃上げ費用、18歳以下への10万円相当の給付金など、岸田政権が掲げる分配政策に関する項目が並ぶ。看護師・介護士らの賃上げや10万円給付については、内容の是非はともかく岸田政権らしい予算であることは間違いない。だが一方では、2兆円ものマイナポイント費用が計上されている。

 マイナンバーカードの取得についてポイントを付与すれば、その分だけカードの利用者は増えるだろうが、そもそも多くの国民が必要性を感じていないことが普及が進まない最大の理由である(マイナンバー自体は2015年に全国民に付与されており、行政事務の効率化という点では、目的はすでに達成されている)。

 国民が必要性を感じていない施策にポイントを付けて利用を促進したところで、大きな経済効果を発揮しないのは明らかであり、当然のことながら所得再分配やコロナからの経済再開には直接関係しない。これが岸田政権の言うところの「新しい資本主義」なのか非常に疑問だ。

米国の予算は方向性が明確

 将来への投資という点においては、大学ファンドに対する5.5兆円の支出や蓄電池関連への1000億円の支出などが列挙されているものの、各予算項目の方向性の乖離が激しく、方向性を見えにくくしている。(4)の国土強靱化も同様で、景気対策なのか必要な投資なのかという位置付けが不明瞭だ。

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11:30更新
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