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講談社・アマゾン直接取引でも取次会社が消えない理由…出版社・書店に多大な恩恵

取材・文=A4studio
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 従来であれば、アマゾンで本を注文して取次の物流倉庫に在庫がない場合、取次が出版社まで在庫確認をしなければいけませんでした。しかし、取次を経由せずにアマゾンが出版社に在庫確認を行えるようになれば、直接取引の対象となる商品が物流倉庫に在庫がない場合でも届くのが早くなるのではないでしょうか」

 ここまで聞くと直接取引にメリットが大きく、逆に取次会社を経由すると仲介手数料がかかるなどのデメリットに目がいってしまうが、講談社の今回の決断にも取次会社を介することの手間や不利益が関係しているのだろうか。

「いいえ、出版社はそれほど取次会社の存在をデメリットに感じていないでしょう。だいたいの出版取引における1冊あたりの取り分を算出すると、出版社が約70%、書店が約22%です。取次会社の取り分は残りの約8%。たとえば、取次会社は1000円の書籍を1冊流通させても80円ほどの利益しか出ません。そのため必要な経費として取次に仲介手数料を支払い流通も任せてしまったほうが、出版社にとっては効率的なのです」

 取次会社への仲介手数料が必要なコストだとするなら、直接取引によって本の価格が下がるといったメリットはあまりなさそうだ。

「むしろ直接取引はコストが上がると考えるのが一般的です。たとえば、書店が各出版社に営業して本の仕入れを独自で行っていたら、時間とお金がいくらあっても足りません。市場がすべて直接取引になると、取引にかける時間、人件費でとてつもないコストが発生してしまいます。だから取次でまとまった量の本を仕入れて、世の中に流通させたほうが結局は消費者も安く本を購入できるのです。今回の場合、自前の物流倉庫を全国各地に所持し、物流投資にも多額の費用を注いでいるアマゾンだからこそ、直接取引が可能になったと見ていいでしょう」

 アマゾンはあくまで特例で、出版社は取次を不要に感じているわけではないということか。

「出版社にとって、取次会社は自社の出版物を流通させてくれる商売相手です。そのため出版社が取次を疎ましく思うことはないでしょう。また書店としても、取次は膨大な量の出版物を用意してくれる必要不可欠な存在です。ですから日本では従来通り、取次会社を介した取引が主流の時代が当面は続くでしょう」

 アマゾンの勢いは今後も増していくかもしれないが、それでも当分の間は出版社、取次、書店が築き上げてきた今までの流通ルートが、大きく崩れることはなさそうだ。

(取材・文=A4studio)

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