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瀬戸内寂聴が出家した年に語った「愛についての言葉」

新刊JP
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 妻であろうとしない女、妻であることを自ら放棄した女が、男を愛する場合、それを支える命綱は「情熱」しかない。

『ひとりでも生きられる』(青春出版社刊)
『ひとりでも生きられる』(青春出版社刊)

 11月9日にこの世を去った小説家・尼僧の瀬戸内寂聴氏は、愛についての想いをこう述べていた。彼女が恋愛、結婚、人を愛することに悩む女性に向けて、強く生きるための答えを導き出しているのが、『ひとりでも生きられる』(瀬戸内寂聴著、青春出版社刊)だ。

 波乱万丈の日々を生き、これまでの生涯、自分の情熱だけはいつも変わらず正直に生きてきた寂聴氏が、愛の本質を説いていく。本書は寂聴氏が出家した年でもある1973年の初版から多くの人に読まれ、ベストセラーとなった新装復刊版となる。

 本書を刊行した50歳のとき、寂聴氏の愛への確信は、人は別れるために出逢うということにゆきついた。滅びる約束があるからこそ、一日一日が惜しまれ、懐かしい。衰えることわりに支えられているからこそ、刻々の愛がきらめく。

 寂聴氏自身も多くの恋の途上で、迷い、つまづきながら、恋そのものから、多くの生の喜びと悲しみと人間の哀れと愛しさのすべてを教えられてきた。男女の恋の決算書は五分五分であったという結論に到達したという。

 また、人は人を愛していると思い込み、実は自分自身だけしか愛していない場合が多い、とも寂聴氏は述べている。自己犠牲の愛は、神や仏の愛でしかない。ただ、人は人を命をかけて愛そうとするとき、束の間であっても、そんな自己犠牲の愛を垣間見る瞬間がある。一瞬でも見ることができた人は、それができなかった人よりも幸せなのではないだろうか。そんな愛の格言とも言える寂聴氏の言葉の数々を読むことができる本書。

 愛することとは、どういうことなのか。人間は所詮、孤独である。孤独だからこそ、愛する相手が欲しいのであり、肌と肌であたためたい。けれど、恋を支える情熱は移ろい易く、消え易い。多く愛し、それを失い、人を傷つけ、自分も傷ついてきた。それを寂聴氏は繰り返してきた。それでも、かつての恋や愛の記憶をなければよかったことは一度もないという。

 今の若い人たちに向け、人間は、誰かを愛するためにこの世に生まれてきた。傷つくことを恐れず、積極的に愛する人になってほしい、と寂聴氏は述べる。自分自身の恋愛や生き方を思い起こし、強く生きている寂聴氏の考え方、生き方から学ぶことは多いはずだ。(T・N/新刊JP編集部)

※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。

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