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木村誠「20年代、大学新時代」

日本大学の背任事件を利用した私大ガバナンス強化策の本当の問題点

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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日本私大連盟は特に3点に絞って提案

 日大とともに早大や慶応義塾大学など、全国の有名私大が加盟する日本私立大学連盟は、有識者会議の論議を踏まえて10月に公表した意見書で、下記の提案をした。連盟加盟校は、他にMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)、関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)などだ。

1.学外者のみで構成される評議員会の本質的課題

 評議員会は、学外者を一定割合以上確保した上で教職員や設立関係者などの構成により、私立大学の公共性と健全な発達に資する仕組みとする。また、この構成のバランスは学校法人の特徴や規模等により一律に規定しない。

2.意思決定のスピードの鈍化

 評議員会の議決を要する事項は、法人としての組織・運営の基本的なあり方や業務の基本方針に関する事項に絞るか否かも含めも法律で一律に規定せず、学校法人の自律性に基づき決定できる仕組みとする。

3.学内の対立構造の先鋭化

 理事の解任手続は、監事と評議員会の連携により、法令違反等の事由や職務執行状況に関する監事の意見に基づいて、評議員会と異なる第三者などの委員会を活用する仕組みを講じることが適切であり、ガバナンスの正当性が高めると考える。

 同連盟が最も強調したいことは、第1の提案にある「学外者のみの評議員会の構成」である。私学特有の建学の精神に基づく教育に理解を有し、かつ現在の多様化する教育プログラム、文理融合やカリキュラムの有機的連携、大学間連携などの各テーマにも精通する人材を学外から十分に確保することができるのだろうか、という疑問が背景にあるからだ。むしろ、私大の教育研究活動に大きな混乱をもたらすという懸念だ。

 第2の提案については、評議員会に最終的な意思決定を任せると大学経営意思決定のスピード感がなくなり、教学と経営が一体となって迅速かつ的確な判断ができず、機能不全になる可能性が高いことを懸念する。

 第3の提案では、不祥事に対応するならば、該当する理事の解任など決定する独立した第三者委員会を設け、監事と協議決定するほうが、ガバナンスの上でも適切である、としている。

 第3案などは、歩み寄りが可能であろう。ただ、学外の人のみによる評議員会に絶大の権限を与えることには、相当反発が強い。

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17:30更新
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