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便利屋化する自衛隊と忖度官僚(2)

首相官邸と防衛省、机上の空論で目標を現場自衛官にゴリ押しし対立…接種センター

文=編集部
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 この接種目標は菅氏直々の命令であり、「政権維持をかけた大バクチ」だっただけに異を唱えられるものは誰もいなかった。まして、第二次安倍政権で官房長官として中央官僚の人事権を掌握していた菅氏の命令であれば、防衛官僚が「現場の意見」や「科学的な根拠」などよりも、机上の計算による目標達成をゴリ押ししたとしてもまったく不思議ではない。

予約なしの来場受け入れで意見が対立、センター運営延長も報道先行

 さらに、予約なしで来場した人の扱いでも、中央の防衛官僚と現場の意見の対立が深刻だった。菅前首相は「予約なしでも追い返すな」と主張したが、現場は「きちんと予約した人が接種できなくなる」と反対。防衛省側はその意をまったく伝えず予約なしで受け入れる体制を強行したという。

 7月のセンター運営延長決定が報道先行だったことも、現場の不信感を呼んだ。陸上幕僚監部も噂程度の情報しか知らず、官邸と防衛官僚が密室で検討しメディアにリーク、既成事実化した上で、防衛省対策本部会で正式決定という流れは現場無視と捉えられても仕方ない。説明する時間がなかったというにはあまりにも不誠実である。

センターの功績は優秀な現場と真面目な国民に追うところが大きい

 接種センターでは、東京・大阪の2会場で5月からの半年間で合計196万回の接種が行われた。これは全国の総接種回数の1%に当たる。全体からすれば少なく見えるが、前述した通り、センターが接種をリードした功績は大きい。ただ、その功績の内実は真面目で優秀な現場と、自粛しながらトラブルを起こさずに接種を淡々と続けた国民によるところが大きいのではないか。

 官僚は公僕である。国民の代表である政治家に従うのはもちろんだが、選挙での当落がつきまとう彼らに代わって、専門的知識や能力でときに諫め、牽制し、政策を洗練させていくのが本来の仕事のはずである。今回の接種センターをめぐる一連の動きからは、菅氏のメンツを潰すまいとする召使いとしての働きはあっても、現場のマネジメント面で責任を持った専門家集団として機能したとはいえまい。

 今回はセンター設置そのものについての防衛官僚のマネジメント能力の弱体化について述べたが、次回は予約システムの混乱をめぐる動きについて詳述する。

(文=編集部)

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