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東芝、完全解体へ…物言う株主に追いつめられ儲けをギフト、危機下でも経営内紛

文=編集部
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経済安全保障の問題

 東芝の失敗は、綱川氏が前回社長だった時に上場維持にこだわり、旧村上ファンドのエフィッシモ・キャピタル・マネジメントなどの「物言う株主」60社に6000億円規模の第三者割当増資を行ったことに端を発する。経営陣と「物言う株主」の間でボタンの掛け違いが起こった。

 綱川氏と違って、ファンドにいたことがある車谷暢昭前社長はファンドにとって手ごわい相手だった。車谷氏の自作自演とまでいわれた、英ファンドのCVCキャピタル・パートナーズに買収してもらい一時的に上場廃止にする手法は、「結局のところ、車谷前社長の自己保身だった」(東芝の元役員)。

 騒動を冷静に見ていたアナリストもいる。「CVCが大株主のファンドなどの持ち株を買い取って、いったん非上場化した後に再上場するシナリオは、『物言う株主』のくびきから抜け出せる妙案だった」というのだ。

 しかし、車谷氏はCVCとの不明朗な関係を指摘され、引責辞任。CVCとの交渉は中断した。東証一部への上場維持にこだわる東芝の有力OBや幹部の反発を招き、車谷氏は辞任に追い込まれるという、お粗末な結末を迎えた。その後、東芝の戦略委員会は一時、非公開化を有力の選択肢と考え、プライベート・エクイティ(PE)・ファンドと協議を進めた。4つの外資系ファンドに絞られたが、経済安全保障の問題が大きなネックとなった。

 日本政府は海外からの投資を規制する改正外為法を施行。原子力など国の安全に関わる業種に外資が出資する際の事前審査を強化した。萩生田光一経済産業相は記者会見で「東芝が安保保障に関わる重要な技術を保有する企業であることは間違いない」と明言した。「会社丸ごとの買収」による非公開化のシナリオが流れたため、ひねり出されたのが会社の三分割。三分割は「物言う株主」に出て行ってもらうための苦肉の策なのだ。

「事業価値を高める」というのならカンパニー制でいいはずだ。三分割して、いずれの会社も上場を目指すのは「株主を儲けさせて追い出すため以外には考えられない。プレミアムをつけないとハゲタカは納得しない」(世界のM&Aの動向に詳しいアナリスト)。

経産省と東芝経営陣の“癒着”

 東芝には株式を買い取るための資産はある、といわれている。芝浦や京浜間など首都圏に土地やビルがあり、それらを売却すれば資金をつくれる。だが、経済安保の壁は厚かった。

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