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定番が、いかりや先生が机(トタン製)に顔をぶつけるズッコケ方。「コントのメリハリをつけるうえでとても大きな効果を生んでいた」と、いかりやは前出の著書で述べている。
●「銭湯コント」
『ドリフ大爆笑』の「もしもこんな○○があったら」の大人気バージョン。銭湯にやってきたいかりやが4人に無理やり服を脱がされ、シャンプーをかけられ、股の間を洗われ、湯舟に投げ捨てられる。一回転したいかりやが湯船から出ると、またも同じサービスが……。最後には、タオルで体を叩かれる。このコントをリズミカルにしたのが、ドリフ見習いだった、すわしんじの太鼓叩きだ。
「リーダーのいかりやが4人を指導する」通常のパターンと異なり、リーダーのいかりやがいじめられる。これがカギだった。
ドリフの“隠し味”だった高木ブー
その他にも、相撲部屋、剣道、家族、時代劇、商店街、アパート、軍隊、先生と不良など、さまざまなパターンで笑いを生んできたザ・ドリフターズ。リーダーのいかりや長介、クールで何でもこなす仲本工事、ボケる間が最高の加藤茶、ボケも突っ込みも最上級の志村けん、そして、何もできないキャラで日本中に“優越感”を与えた高木ブー。彼の存在感の薄さこそ、ドリフというグループのインパクトを持ち上げる「隠し味」だった気がする。とにかく、メンバーのキャラとバランスが絶妙だった。
昭和40年代から人気を博したドリフのコント。高校生や大学生になると飽きが来るが、年を取るとまた戻る。いつ見ても懐かしく笑えるのは、疲れようと揉めようと、ドリフが生放送に全力を注いだからだろう。
(文=稲垣翼/テレビウオッチャー)