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世界EV市場で存在感高まる富士電機とは何者なのか?パワー半導体で世界をリード

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 これまでの事業運営を確認すると、富士電機の経営陣は重電分野などでの競争力低下に危機感を強め、構造改革に取り組んだ。その一つがマレーシア事業の業態転換だ。2021年7月にマレーシアにおいて富士電機はハードディスクドライブ(HDD)に搭載する磁気記録媒体(ディスク媒体)の生産を終了した。同社はマレーシアの施設を直径8インチ(200mm)ウエハを用いたパワー半導体の生産に転用する。

世界的なパワー半導体需要の拡大期待

 富士電機がマレーシアでのパワー半導体事業の強化に取り組む一つの理由、世界経済のEVシフトの急加速によって、パワー半導体など自動車生産に欠かせない半導体の需要が増えているからだ。

 現在の世界経済では、韓国と台湾に加えて、車載半導体の供給地としてのマレーシアの重要性が急速に高まっている。その要因として、2018年以降に激化した米中通商摩擦の影響がある。それによって、中国からマレーシアに半導体など電子部品の生産拠点が移管された。  

 さらに、2021年夏場の感染再拡大の影響も大きい。デルタ株の感染再拡大によってマレーシア政府がロックダウンを実施した結果、動線が寸断され、独インフィニオンや欧州系のSTマイクロシステムズ、米インテルなど半導体メーカーの工場操業が停滞し、世界経済への車載半導体の供給が急減した。その結果、世界の自動車生産が減少し、自動車一本足打法の日本経済にはマイナスの影響が及んだ。

 その状況下、マレーシアで多くの半導体メーカーが大型の設備投資を行い、汎用型の生産ラインを用いて生産される車載半導体などの供給力を強化しようとしている。その象徴が米インテルだ。インテルは最先端のロジック半導体分野では世界トップの台湾積体電路製造(TSMC)との競争を避け、車載半導体の生産能力強化に集中し始めた。同社はマレーシアで8000億円程度の設備投資を行い、半導体封止施設を建設する。富士電機がマレーシアでパワー半導体の生産能力を引き上げることは、EVシフトなどを背景とした車載半導体需要の増加に対応した意思決定だ。

 アセアン地域では、EV生産(車載バッテリーの生産およびEV車体の組み立て)のハブとなることを目指してタイやインドネシア政府が海外企業による直接投資を増やそうとしている。それによって、マレーシアからアセアン各国への車載半導体供給量も増える可能性が高まっている。また、富士電機は、国内でもパワー半導体の生産能力を引き上げている。それは、EVシフトという世界経済のゲームチェンジに対応するために重要な取り組みだ。

富士電機に求められる選択と集中

 富士電機が長期の存続を目指すために必要な取り組みの一つは、パワー半導体事業への選択と集中だ。言い換えれば、同社は重電メーカーとしてのビジネスモデルから、世界を代表するパワー半導体メーカーを目指すべきだ。

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