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世界EV市場で存在感高まる富士電機とは何者なのか?パワー半導体で世界をリード

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 脱炭素を背景に、EVや再生可能エネルギー利用のためのパワー半導体需要は拡大基調で推移するだろう。特に、高電圧に耐えられる炭化ケイ素(SiC)ウエハの生産に関して、わが国半導体部材メーカーの競争力は高い。富士電機はサプライヤーとの協力体制を強化することによって、より優位に車載向けのパワー半導体の研究開発を進め、新しい需要を創出することができるだろう。

 その一方で、世界のパワー半導体業界では競争が激化している。その一つがウエハ大口径化を進めて、より効率的にシェアを獲得しようとする半導体メーカーの増加だ。直径12インチ(300mm)のウエハに対応した生産能力を引き上げてシェアを拡大させるために、パワー半導体最大手の独インフィニオンはオーストリア工場の建設に約2000億円を投じた。第2位の米オン・セミコンダクターは半導体工場を買収した。独自動車部品大手のボッシュも300mmウエハを用いた生産体制を強化する。

 ビジネスチャンスの拡大と競争激化に対応するために、富士電機はこれまでの事業運営の発想を根本から改めるべき時を迎えた。パワー半導体分野で同社は、国内の自動車メーカーの要望に真摯に耳を傾け、要求される技術要件を実現して成長してきた。しかし、現在、世界全体で急加速するEVシフトに対するわが国自動車業界の遅れは鮮明だ。

 富士電機はサプライヤーとの関係強化や提携・買収戦略の強化によってパワー半導体分野での新しい需要を創出し、自ら世界市場を開拓しなければならない。そのために、事業ポートフォリオの内容を見直し資産売却や、生産の外注などを検討、実行する重要性は高まっている。富士電機が不退転の決意でパワー半導体事業の強化に集中することを期待したい。それは世界的な存在感を維持するわが国パワー半導体業界の成長を加速させることにもつながる。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

●真壁昭夫/法政大学大学院教授

一橋大学商学部卒業、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学大学院(修士)。ロンドン証券現地法人勤務、市場営業部、みずほ総合研究所等を経て、信州大学経法学部を歴任、現職に至る。商工会議所政策委員会学識委員、FP協会評議員。

著書・論文

『仮想通貨で銀行が消える日』(祥伝社、2017年4月)

『逆オイルショック』(祥伝社、2016年4月)

『VW不正と中国・ドイツ 経済同盟』、『金融マーケットの法則』(朝日新書、2015年8月)

『AIIBの正体』(祥伝社、2015年7月)

『行動経済学入門』(ダイヤモンド社、2010年4月)他。

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