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ゴルフ場最大手アコーディア、なぜファンドのマネーゲームの道具に?翻弄の連続

文=編集部

 アコーディアの回答は「イエス」。レノがTOBに応募しなかったため、PGMのTOBは成立しなかった。

焦土作戦で買収を阻止

 壮絶バトルは最終局面を迎えた。アコーディア側は焦土作戦に打って出た。ゴルフ場を売却してPGMの買収意欲を削ぐのが狙いだった。国内企業のM&A(合併・買収)で焦土作戦が採られるのは、この時が初めてだったとされている。

 アコーディアは14年6月27日、東京都内で定時株主総会を開いた。PGMによる買収を撃退したものの、レノがTOBに応募しない条件としていた「PGMとの経営統合に向けた(前向きの)交渉」と「自社株買い」への対応など、重い宿題が残っていた。

 レノにお引き取り願うための作戦の立案が急務となった。保有する133のゴルフ場のうち90コースを特別目的会社(SPC)に1117億円で売却した。SPCはシンガポールに組成したREIT(不動産投資信託)のアコーディア・ゴルフ・トラスト(AGT)にゴルフ場を譲渡。AGTがシンガポール証券取引所に上場するというスキームである。

 これ以外にも、大和証券グループの大和PIパートナーズから新株予約権付ローンで200億円を調達。普通株に転換して大和PIはアコーディア株式の16.75%を保有した。ゴルフ場を切り離すことでPGMに買収を諦めさせることが第一の眼目だった。レノには持ち株を高値で売却してもらい、お引取りを願う。

 そして、最後にアコーディアは大和証券グループの傘下に入るというシナリオだった。株主総会で一連の議案の賛成が得られたことから、14年8月、AGTはシンガポール証券取引所に上場を果たした。

誤算の数々

 アコーディアの経営権を握った大和証券グループにとって、最大の誤算だったのはレノが450億円の自社株買いを実施してからも、一部の株式を売却しただけで大株主として残ったことだ。アコーディアの経営陣にプレッシャーをかけ続けた。

 レノとの関係を断ち切るため大和証券はアコーディアにMBKを紹介した。MBKは16年末にアコーディアに友好的TOBを行い、レノの持ち分18.9%を含む全株式を取得。17年1月に完全子会社にし、同年3月に東証1部の上場を廃止した。

 MBKはアコーディアの再上場によって投下資金の回収を目指す。アコーディアは20年6月、シンガポール証券取引所に上場しているREIT、AGTから日本のゴルフ場88カ所を618億円で買い戻した。ゴルフ場の土地をも保有することになったゴルフ場運営会社のアコーディアをMBKはソフトバンクグループ系の米投資ファンドのフォートレスに、推定4000億円で売却したことになる。MBKは高値で売り抜けることに成功したことになるのだろう。

 フォートレスは投資ファンドである。MBKと同様、数年後にはアコーディア株を売却して資金を回収するとみられる。アコーディアはファンド間で転がされるマネーゲームのカードという宿命を背負い続けることになるわけだ。

(文=編集部)

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