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藤和彦「日本と世界の先を読む」

中国、流行性出血熱も感染拡大…コロナ同様に政府の隠蔽で新パンデミックの懸念も

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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野生動物取引が野放し

 緊張状態に陥っている西安市の状況を目の当たりにすると、ついつい2年前の武漢市のことを思い出してしまう。当時武漢市では海鮮市場関係者を中心に謎の肺炎が流行していた。中国政府の国際社会への新型コロナ発生の報告が遅れたことで、新型コロナのパンデミックが発生、残念ながら現在も収束していない。

 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が20日、「2019年に新型コロナが初めて報告された中国はこのウイルスの起源に関するより多くのデータと情報を明らかにすべきだ」と述べたように、中国政府が非協力的な姿勢を続けていることが災いして、その起源はいまだに解明できていない。現在「動物から自然発生した」説と「遺伝子操作を行った実験施設から流出した」説が有力だが、「この問題に決着を付けない限り、次のパンデミックに備えることができない」とWHOは危機感を深めている。

 いずれの説であったとしても、次のパンデミックも中国発の可能性が高い。

「中国の野生動物市場がパンデミック発生の理想的な温床である」

 今年後半に中国の野生動物市場について初の包括的な調査を実施した中国、米国、ベルギー、豪州の専門家はこのように結論づけた。中国で取引されている野生動物16種を調べたところ、哺乳類を宿主とするウイルスが71種特定され、そのうち、人間にとって「潜在的に高リスク」と考えられるものは18種あったという。中国の野生動物市場の取引規模は約9兆円超(2016年)と世界最大だ。現場では人間と野生動物は密接に接触し、野生動物をさばく際に飛び散る血を浴びることもしばしばだ。中国の野生動物市場が新興感染症にとって理想的な温床であることが改めて認識されたというわけだ。

 新型コロナ発生以降、中国政府は野生動物の取引を禁止したが、実質的には何も変わっていないという。西安市でも野生動物の取引が行われていることだろう。

鳥インフルエンザは人に感染

 海外では、コロナウイルスについて危険な実験を行っていた武漢ウイルス研究所から流出した説への支持が高まっている。「まさか」と思っている日本人は多いだろうが、台湾当局が12月9日、「台北市のバイオセーフティーレベル3の実験施設で研究者が新型コロナに感染した実験用のマウスに噛まれるという事故が発生した」ことを公表したように、世界の実験施設でこのような事故が起きるのは日常茶飯事のようだ。

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11:30更新
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