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「よく『ホールは辛いスペックの台を好んで買うんでしょ? その方が客から搾取できるから』なんて嫌味を言われますが、実際は逆です。辛いスペックだと、お客さんはすぐに飛んでしまう。辛いよりは適度に甘く、そして波が荒いスペックが好きという店長が多いのではないでしょうか。コツコツと吸い込み続けるかと思いきや、適度に放出して見せ台になってくれる機種が最高ですね(笑)」(同)
近年はパチスロの売り上げが落ちた分をパチンコで補填するという状況が続いていたが、期限が来れば否応なしに6号機しか打てなくなる。
「6.1号機を経て、今年4月に有利区間が1500Gから3000Gに緩和された6.2号機ではゲーム性の幅が広がると期待されていますが、2400枚規制は変わっていません。むしろ、凝ったゲーム性にすることで時間効率が悪くなったり、出玉性能が乏しければユーザーからそっぽを向かれるのは明白なので、メーカーの腕の見せどころですね」(同)
これを機にパチスロをやめるべき?
では、パチスロの状況が好転するまで、ホール側はどんな対応で苦境を乗り切ろうとしているのだろうか。
「パチスロエリアの一部をパチンコエリアにしたり、新台を買う余裕がない場合は6号機の中古台を買ってしのぐのもひとつの手。休業したり、6号機の新台は当分導入しないと宣言しているホールもあります。もちろん、新台の選定や売却、中古台の活用、経費の削減には、これまで以上に本気で取り組まなければいけません」(同)
もし、常連として通っていたホールがベニヤ板で台枠をふさいで減台していたら、いたたまれない気持ちになるかもしれない。「でも、同情なんてしなくていいんですよ」とT氏は言う。
「明らかに経営状態が悪く、回収モードのホールで打っても負けるだけです。パチスロをギャンブルとして見ているなら、これを機にパチスロをやめることも考えた方がいいかも。逆に、パチスロを遊技として見ているなら、ホールを厳選して打つか、一時的にパチンコで我慢するのがおすすめです」(同)
有利区間の規制が撤廃されたメダルレス遊技機の申請が始まり、6号機の「アイムジャグラーEX」「マイジャグラーV」は導入台数や市場評価の点で順調なスタートを切るなど、少しずつ次の時代に移りつつあるのを実感し始めている業界人も多い。
それでも、5号機がそうだったように、6号機も軌道に乗るまでには少し時間がかかることだろう。
(文=山下辰雄/パチンコライター)