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木村隆志「現代放送のミカタ」

“まったく別のドラマ”に変わった『カムカムエヴリバディ』が来年も期待できる理由

文=木村隆志/テレビ・ドラマ解説者、コラムニスト
「連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』 - NHK」より
連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』 – NHK」より

 12月22日放送の第38話で“安子編”が突然終了し、翌23日から“るい編”をスタートさせて視聴者を驚かせた朝ドラカムカムエヴリバディ』(NHK)。

 もう「激変」と言い切っていいだろう。主人公が、おはぎ売りの未亡人・安子から、名家のお嬢様として育ったるいに変わり、演じる女優も23歳の上白石萌音から48歳の深津絵里に変更。10年あまりの時がすぎて戦後のムードが抜けた昭和30年代になり、舞台は岡山から大阪に変わった。

 “るい編”の初回は、突然ミュージカルが始まったように深津が歌って踊ったほか、華やかで楽しげな大阪の街が映し出されるなど、どこまでも明るく軽い世界観。主人公が戦争をきっかけに祖母・母・父を亡くし、夫も失ったほか、最愛の娘との生き別れを描いた“安子編”とは「まったく別のドラマ」と言ってもいいだろう。

 もちろんこれは制作サイドの狙いであり、視聴者を驚かせながら話題を振りまき、視聴率を上げているのだから、「斬新」であり「見事」とも言っていいのかもしれない。

「強引」な賭けに勝った制作サイド

 まず“るい編”序盤の明るく軽やかな世界観は、「“安子編”の最後が重苦しすぎたこと」と「48歳の深津絵里が18歳を演じること」へのフォローによるものだろう。

 もし“るい編”の序盤が“安子編”の重苦しさを引きずる形だったら、視聴者を「あまりにつらくて見ていられない」「こんな気持ちで年越ししたくない」という気持ちにさせてしまいかねない。年末年始の中断期間があるだけに、「来年の放送から見てもらえなくなる」という事態だけは避けなければいけなかった。

 むしろ「『まったく別のドラマ』と思わせるくらい意図的にガラッと変えた」と言ってもいいだろう。しかし、るいは額の傷など、ふとしたきっかけで母・安子との悲しい過去を思い出すシーンがあり、そこで“安子編”と“るい編”は同じ作品としてようやくつながりを見せる。

 今後も「高度成長期らしい明るく軽やかな世界観をベースにしながら、時折、暗く重いシーンが挟まれる」というバランスで進んでいくのではないか。さらにそれは、るいの娘であるひなた(川栄李奈)の人生を描く“ひなた編”も昭和40年代からスタートするだけに同様かもしれない。

 そもそも「祖母、母、子のヒロイン3人をリレー形式で1世紀かけて描く」というコンセプト自体が前代未聞の挑戦作なのだが、これは見方を変えれば「強引」なやり方とも言える。今回の「唐突な“安子編”終了」「年内放送残りわずかで主人公リレー」も一歩間違えていたら「強引」とみなされて、大ブーイングにさらされていたかもしれない。

 制作サイドが思い切った賭けに挑めたのも、見事に勝ったのも、やはり深津絵里という稀有な存在あってのことだろう。

“安子編”のショックをやわらげる

 ネットメディアは、「深津が主演になってから視聴率が上がった」などと報じた。これはその要素もあるが、一部分に過ぎないように見える。確かに「久々の連ドラ出演となる深津の演技を見たい」という視聴者はいるだろう。しかし、制作サイドの狙いは、そんなに単純ではないはずだ。

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