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千葉哲幸「フードサービス最前線」

高級食パン・ブームの先駆者「一本堂」、急拡大の経営の秘密…食パンのFC化を実現

文=千葉哲幸/フードサービスジャーナリスト
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コロナ禍で法人が「一本堂」の堅実さに着眼

高級食パン」がにぎわうようになって一本堂でもこの分野に参入した。「東京食パン 壱よし」という店名で21年6月、東京・自由が丘にオープンした。差別化のポイントとしてアピールしていることは、まず素材にカナダ産小麦、国産小麦、フランス産発酵バター、カリフォルニア産モハベレーズン、北海道産大納言小豆を使用していること。製法として卵・蜂蜜・イーストフード・乳化剤を使用しないで低温長時間発酵でじっくりと生地を熟成させていることである。

一本堂
「新宿本店」は研修施設を兼ねるために工房が広くレイアウトされている

 店名ははやりのキャッチーな要素を追わずに、素材と製法を詳しく表示している点に「正統なパン屋」としての矜持が感じられる。当初2斤800円~1200円で打ち出したが、1斤430~630円の商品も加えたところ1斤のほうがよく売れるようになった。

 さて、一本堂にFC加盟するに際して初期投資は、加盟金などが178万円(税抜、以下同)、製パン機械等の設備関係が約900万円、12坪程度での物件関係に約550万円、合計概算1600万円強が必要となる。ロイヤリティは売上の3%で月額5万円が上限となっている。

一本堂
研修室に飾られた食パン製造の工程。視覚で記憶することで習熟が正確で早くなる

 これまでFCに加盟する人は個人であった。それは元自衛官、元公務員、元会社員など。またコンビニ経営者が加盟するパターンもあった。これが、コロナ禍によって法人が増えた。それはカフェ、美容室、エステ、書籍販売、カルチャーセンターといったところで、昨年10月以降増える傾向を示している。加盟の狙いはそれぞれ事業多角化の一環である。食パンには日常的な需要があり、地元密着の商品特性があることから新規の加盟者は既存の商売との親和性を感じていることであろう。

 谷舗氏の事業のキーワードとされた「日常的で説明が要らない」「古くて新しい」は商売の本質を語っているようだ。それがコロナ禍でも店数を増やし続けることで実証している。

(文=千葉哲幸/フードサービスジャーナリスト)

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●千葉哲幸/フードサービスジャーナリスト

フードサービス業界の経営専門誌である『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)とライバル誌両方の編集長を歴任。2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しく、最新の動向もリポートする。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社、2017年)。

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